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顔無しお化け
「花音さまぁーっ、疲れましたよ」
ほんと、花音さまはなんで空を飛ぶ薬を作ってくれないんだろ。他のメンバーは空飛べてるのに。
「こうしてレアな薬草を摘みたいのよ」
「ったくぅー。あ、花音さまっ、来ましたよ!」
ゆりゑさんだ。そのとき、プルル、と通信機能が鳴った。
〝こちら、チリコンカンに遭遇〟
〝あら、そうなの。サニーとわたしは今、丈六喜楽里と戦っているわ〟
「奇遇ですね!わたしと花音様は、一本木ゆりゑさんと戦ってます」
ったく、なんでこんな奇跡が起こるのか。
「ゆりゑさん、ですよね?」
〝そーだよー。あーしゃ顔無しお化けの一本木ゆりゑ。さあさ、なんか勝負したくなったから勝負しようじゃないか!〟
ゆりゑさんの言葉が脳内に直接響く。普通の顔立ちのメイクをしているから顔が見えるのであって、本当は顔無し。視覚ははんてんに盛り込まれている目玉模様で見て、しゃべるのはこうやって、御飯いらず、聞くのはスピーカーという。なかなか興味深い人で、いつか取材しようとしている。
「じゃあ、ゆりゑさん。勝負に勝ったら、取材していいですか?」
〝いいよ!あーしゃ目立ちたいんだけど、全然影薄いんだ。勝負とかじゃなくて、取材して!〟
よしよし。
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「文、切り替えて。行くわよっ!」
〝えー、取材してくれないんですかぁーっ〟
「してあげるから。でも、そこが通れないのよ」
「そうです!わたしが勝ったら、取材はさせません!」
〝えーっ!〟
あれ、契約逆に…いや、別にいい。
「文符『天翔書物乱舞剣』!」
〝ふっふっふーっ、このはんてんをー舐めないでねーっ!〟
舞う本が全てかわされてしまう。
〝あつい戦闘にーなりそうねーっ!〟
「はいはい、自慢のはんてんを脱がしてあげるわ。熱いんでしょ?あなたの力はあなたのものじゃなくて、はんてんの力なんだから」
そういうと花音さまは
「医符『千本桜衝撃』!」
と叫んではんてんをびりびりに破いてしまった。
「さあて、とどめをさしましょうか!文符『天翔書物乱舞剣』!」
「うわーっ!やーらーれーたーっ!」
見事に投げた本が的中して、ゆりゑさんはよろよろと倒れてしまった__