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Prologue
この世界に、「私」という者は何人いるのだろう
生身の身体は1つだけだ
でも、あらゆる自分を作ることができる|この世界《インターネット》では?
私という者は今までの人生の中で沢山作ってきた
名前を変えたりしながらも何度も
その数はきっと10本の指にぎりぎり収まるぐらい
その中の1人に貴方は出会っている
この世界に住む何億分の1である「私」を見つけてくれた
それは奇跡ではなく、運命なんだと私は思う
運命には抗えない
「私」と貴方が出会うという運命にも抗えない
運命は簡単には変えることができない
だから、貴方に出会えたのも
《《ここ》》で「私」が生まれたのも
《《ここ》》に足を踏み入れたのも
偶然でも、奇跡でもなく
運命なんだ__。
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--- 【第0章 名前の無いPrologue】 ---
ブ-ッブ-ッ
耳元で鳴り響く振動音
午前9時に設定されたアラームで私は起きる
重たい瞼を開けると、
いつもと変わらない部屋が視界に映る
淡いオレンジ色のカーテン、
勉強道具が散乱している勉強机、
しろくまの絵が書かれたふわふわの布団カバー、
全部私のいつも通りの光景だった
素足を床に付けると冷たい温度が伝わってくる
その温度に顔をしかめてはストーブを付けて足を布団の中に戻す
寝たい気持ちを押し殺して、スマホを開いては
自分の小説や日記に対するコメントやファンレターを眺める
それを眺めながら気持ち悪い笑顔を浮かべる
そんなことをしているうちに9時10分のアラームが鳴って、
その音で我に返った
時計アプリを開き、9時20分以降のアラームをOFFにする
部屋も暖かくなってきたところで、
私はベッドから出て、1階へと向かった
顔を洗って歯磨きをし、
休日だからと適当な服に着替えて朝食を食べる
その朝食も母が作った野菜スープとヨーグルトにかけたフルグラだけという質素なものだった
朝は食欲が湧かないもんで適当に済ませがちだ
だからせめて栄養が取れるようにと、
フルグラを兄が買ってきてくれていたのだ
牛乳に入れても美味しいが、私はヨーグルト派だ
適当に朝食を食べて再度歯磨きをし、部屋に戻る
とりあえず勉強机に向かってみて、何をするか考える
勉強するならどの教科?どれくらい?
そんな会話を自分の心の中でして、
メモに書いてまとめる
そうでもしないと1日無駄な日になってしまうから
できることをやろう
そう思いながら勉強をしたり、ゲームのミッションをやったり、
本を読んだりと、我ながら充実した午前中を過ごした
お昼ご飯を食べる頃には1時になっていた
お腹がなってお昼だと気づいた
何を食べようか迷い、冷凍庫にあった冷凍うどんを茹でて食べた
麺はやはりうどんが1番だ
とか言いつつ、麺を茹でている時に眺めていたのは、
カップそばの緑のたぬき
内心後悔したが茹でてしまったならもう遅い
適当な具材を入れて、溜まっていたアニメを見ながら食べた
洗い物も終わり部屋に戻る
そしてスマホを眺めた
今日は1月12日…か
カレンダーを見て、早いなぁと思考を巡らせる
去年の思い出を思い返していると、つい微笑んでしまう
そういえばもう明日…
私はスマホのサイトをタップし、
マイページをタップする
何か、小説を書こうかな
そして、「小説新規作成」を押した
と思ったら、「書いた小説一覧」を押していた
この癖がなかなか抜けない
やれやれ…と、戻るボタンを押そうとした時、
1つの小説が目に入った
…「Prologue」?
新しいシリーズを作ろうとしたんだっけ
「編集」を押して登録しているシリーズを見ても
どこにも登録されていなかった
なんだ、これは
間違って作ったのだろうか
だが、無性に気になってしょうがなかった
私はPrologueという小説を開いた
その瞬間、私の意識は途絶えた
途絶えたというか、
何かに吸い込まれた
の方が近いのかもしれない
この小説は私と貴方を繋ぐ架け橋となる小説で、
この橋を渡り終えた時、
そこには感謝と涙と別れが詰まっているだろう__。
おつなこ!!!