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prologue
「~じゃあ、次!」
私は歌が好き。
歌のテストが待ち遠しいくらい。
でも…
「~~♪~♪」
「う゛っ …」
「センセー!○○ちゃんが頭痛いって!」
「ちょっと唄さん、やめてちょうだい、大丈夫かしら?」
「あ…」
私が歌うと、誰かが必ず不幸になってしまう。
「唄ちゃん、最近歌わないけどだいじょうぶ?」
「コクッ」
『私の声が皆を不幸にする』
そう気づいたら喋るのも怖くなった。
また今日も学校にいけないまま。
誰もいない夕方の外へ1人で出掛ける。
誰もいないから、私は安心できる。
…誰もいない、はずだった。
「あ、初めまして!月野唄さんですか?」
「…」
知らない少年が、玄関前にいた。
「俺唄さんと一回会ってみたくて~!」
「…」
「夕方の海って綺麗ですね!俺初めてです!」
「…コクッ」
「明日も、学校のやつ届けに来ますね!それじゃ!」
「…」
私は歌が好き。
でも歌えないから好きじゃない。
--- 【好きだけど好きじゃない】 ---