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鳩の国 5話
ディアとスターが深い深い崖の下へ降りていく。
崖の一番下へとつくと、辺りは真っ暗で何も見えなかった。
ディアはマッチを付けランタンに入れるが、それでもまだ見えにくい。
「うーん⋯どうしよう。」
ディアが考え込んでいると、スターが何か見つける。
それは青く発光する鉱石だった。
「あっ⋯これ、ファラサ?」
「知ってるの?」
「図書室の本で読んだことがあるの。光を当てるとファラサは青く光る。希少で、アステリでは高値で取引されているはずだけど⋯」
スターが不思議に思うのにも無理はなかった。
見渡す限りファラサがあり、とても希少には思えなかった。
二人は光線が続く先まで、ファラサに光を当てながら進んでいった。
一方その頃、地上では⋯
「なぁ、なんでそんなに俺を避けるんだ?」
「アンタは私を殺しかけた。この傷跡、覚えてない?!」
そう言ってロージーは目の傷を見せつける。
「覚えてるに決まってんだろ。 あの後俺謝っただろ? もうてっきり許したと思ってた。」
ウノがそう言うと、次の瞬間ロージーはウノに飛びかかる。
「この傷のせいで私は捨てられた! 私の生きる意味は⋯歌うことしかなかったのに!」
「歌うことが生きる意味?お前は歌うのを嫌っていただろ!」
「私は⋯! ⋯歌うことが嫌いだったわけじゃない⋯!」
「⋯じゃあ何であんなつらそうな顔をしてたんだ!?」
「⋯ただ⋯愛されたかったの!⋯私の両親は⋯!⋯私の歌以外に興味はなかった⋯!」
ロージーが泣きながら言う。
するとウノが口を開く。
「……俺も、気持ちはわかるよ」
ぽつりと、自分に言い聞かせるような低い声だった。
「俺には兄がいてさ。両親の目は、いつもあいつだけを追ってた。……俺が何をしても、どんなに声を上げても、あいつらには俺の姿なんて見えてなかったんだ」
ウノは自嘲気味に口角を上げたが、その瞳は笑っていなかった。
「⋯俺達ちょっと似てるな。」
「あんたと似てるなんて言われたくない。」
「ハハ⋯相変わらずだな。」
二人は少し仲が良くなったようだった。
一方、崖の下では二人は壁画を見つけたようだった。
「⋯古代文字だわ。 ⋯?⋯」
古代文字と一緒に絵が描かれていた。
「これは⋯鳥が二人に、兎⋯狼、イタチ⋯⋯?⋯」
一人がなぜかぐちゃぐちゃと黒で塗りつぶされていた。
すると足音が聞こえてくる。
「見て、誰か居るよ。」
「⋯あれは⋯」
スターがそう言うとディアが少し顔をしかめた。
目の前に現れたのは背の高い狐だった。
「やあやあディア、久しぶりだねぇ。」
「⋯アヴァリティア。」
「知り合いなの?」
「⋯私の兄よ。」
スターは疑問に思った。
カラスと狐が兄妹であるのはありえないことだったからだ。
「⋯?お隣に居るのはアステリのお姫様かな?」
「近づかないで!」
アヴァリティアがスターに近づこうとすると、ディアが阻止する。
「フフッ、ちょっと挨拶しようとしただけじゃないか⋯ひどいなぁ。」
「⋯何が目的?」
ディアがそう問うとアヴァリティアは少し微笑みながら言う。
「何のことかな?私はただ、たまたまここに旅しに来ただけだよ。」
「とぼけないで!」
するとアヴァリティアの表情が怖くなる。
「ハァ⋯バレているようだな⋯まぁいい。直接話そう。」
次の瞬間、ディアとアヴァリティアが一瞬にして消える。
スターは一瞬の出来事に脳の処理が追いつかなかった。
しかしディアがすぐ目の前に戻ってくる。
ディアは息を切らし、苦しそうな表情をしていた。
その腕からは血がポタポタと流れていた。
「大丈夫?!今⋯何が起こったの?!あなたたち消えたわよ?!」
「⋯何のこと?⋯ハァ⋯ハァ⋯私は転んだだけよ⋯ハァ⋯ハァ⋯」
「⋯⋯何を言ってるの?」
「⋯⋯きっとガスで幻覚を見たのね⋯ハァ⋯ハァ⋯」
「⋯⋯⋯⋯」
スターには到底幻覚とは思えなかった。
二人は怪我の応急処置をするため、上へと戻ることにした。
上へ戻ると、以外にもウノとロージーは大人しく待っていた。
「どうしたんだ?大怪我してるように見えるぞ。」
「⋯ハァ⋯ハァ⋯転んじゃったの⋯」
「転んでこんな大惨事になるかよ⋯」
「⋯⋯⋯」
スターは黙ったままだった。
下で見たことは言うべきではないと思ったからだ。
応急処置をしてもらっている間ふと光線を見ると、さっきと違い、地平線の彼方へと続いていた。
「あれ⋯何で⋯」
「今日はもう行動できそうにないからここでキャンプするぞ。」
四人はここで夜を明かすことにした。
読んでいただきありがとうございます
深夜更新でごめんなさい
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