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3 白鳥 雪乃
今回の任務……子供がターゲットなの?
私・|白鳥《しらとり》 |雪乃《ゆきの》は、動揺を隠せなかった。
依頼主は10歳の男の子。いじめられている兄を助けるために、いじめっ子を消したいのだそうだ。
月夜社長も、「こんなに幼い子がうちを見つけるのも、ターゲットが中学生なのも初めて」と言っていた。
私が思っていたのは、どうやって依頼金を稼いだの?とか、兄のために頑張って偉い、とかではなかった。
念願の、《《子供での》》人体実験ができる……!
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私は薬学の大学を早めに卒業した。もう、名誉教授以上の知識を持ってしまったからだ。
世界中のいろいろな薬の情報や、調剤のしかたまでマスターした私は、次第にラットでは物足りなくなっていた。
人間での実験をしてみたい!
はじめは自分の身体で実験をしていたけれど、実験者である私が薬でダウンしていては実験が進まない。
そこで、私は殺し屋として、依頼を受けた死ぬ運命のターゲットを実験台にすることにしたのだ。
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ターゲットは中学3年、15歳の男子生徒。身長167cm、体重60kg。サッカー部で、好物は母親の作った唐揚げ。アレルギーは、蕎麦と林檎。どちらも比較的軽度で、運動で重症化する。
部活のある日の弁当に蕎麦粉、アレルゲンを活性化させる薬、エピペンの解毒剤を混入させる作戦で行こう。
まだこの薬が蕎麦に対応しているのか調べられていなかったので、彼のアレルゲンは好都合だった。
私は受話器を取り、依頼主の少年に電話をかけた。
「来週の火曜日、決行致します」
さて……火曜日が楽しみだ!
アレルゲンを活性化させる薬?エピペンの解毒剤?そんなもん実在すんの?