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精神病院での夢
約3000文字。
心臓フェチと外科的グロ?
こんな夢を見た。
視点は定点カメラのようで、病院の診察室らしい。
丸いすに座っているのは制服を着た少女で、男性医師と対話をしている。
話の内容と、少女の手首のキズより、どうやら精神科医のようだが、どうしてか聴診器を使用していた。
「どうやら心が疲れてるみたいですね。ちょっと心の状態を見てみましょうか」
と、少女をベッドにて仰向けにさせた。
「胸を見ますね」
男性医師は、少女の制服のボタンをプチプチと外していった。少女は精神を病んでいるようで、その行為に何の理由も抱かない様子だ。おそらく幼児退行でも起こしている。頭を働かせないで生きてきたから、精神年齢が幼いようだ。
上半身裸になり、医師は触診した。
胸を揉んだり、指を押しんだり……。
「所見では大丈夫のようですが、念の為『詳しく』見てみましょう」
医師はメスを持って、胸に刃先を当てた。
そして、当然のように皮膚の一部を切開した。
すぐに皮膚の真下にある生々しい真皮などが見て取れた。
「やはり心が疲れているので、麻酔無しでも良さそうですね」
そういう理屈なのだろうか。
筋肉や脂肪は電気メスで焼き切り、肋骨と胸骨はペンチのようなもので挟み込み、力を加えた。
所詮少女の細い骨。大人の手にかかれば、この通り。バチン、バチンと肋骨と胸骨が切られた。
手際は良いらしい。
数分もせず、心臓が見える範囲まで到達した。
じっと見る。
「みた限りは特に何もないですが、一応検査してみますね」
心臓は、心嚢と呼ばれる肉の袋で包まれている。これは心臓の動きが肺や横隔膜と摩擦しないようにするためであり、今の状態だと心臓が入った肉の袋が蠢いているだけに過ぎない。
その肉の袋……、心嚢にメスを当てた。
慎重にメスを入れ、少女の心臓を露出させた。
心嚢のメスを入れた隙間から漏れ出るように、動く赤い肉が元気よく動く姿が見えただろう。
精神科医は心臓外科医でもあるのだろうか。
そうして心臓に直接電極を付けた。
どくん、どくん、ドクン……。
心電図検査ででてくる電極コードで、モニター画面に波長が波打っていることと、同時に電子音がなっていることがわかった。
しばらくそのままにしていると、
「やはり、心が疲れているようです」
と医師は言った。
「心を休めましょう」
「どうすればいいですか」
沈黙を破る少女。受け答えはできるようだが、心臓を露出していることに、何の疑問も持たない様子だ。
そうですね、と医師は少女の心臓を触りながら考えている。心臓の表面を走っている細かい血管の模様に沿って、指でなぞっていた。
「この世に生を受けてから、ずっと活動してきてますから、一時的に止めてみましょうか」
医師はそう言ってきた。少女は念を押す。
「止めるってどこを?」
「心です。心の活動を止めるのです」
「心の活動を止める、というのは」
少女は念を押す。想像が働かない。
「そりゃもちろん……」
医師は胸まで伸ばし、今もぴょんぴょんと跳んでいる赤黒い臓物を軽く握った。
「この心臓を、です。そうすれば疲れた心が回復するでしょう」
「心臓を止めるだなんて。死んでしまうのでは」
「ええ、そうですね。死にますね。……遺言はそれで大丈夫ですか?」
ようやく少女は確信したのだろう。
ここまでされて、ようやく自分の結末を理解したのだろうか。頭の悪い子供だ。
少女は身体を起こし、逃げようと試みた。
しかし、すでに心臓外科をされて心が露出している状態なのだ。麻酔はされていないが、この状況で一体どうやって逃げるつもりなのか。
「ダメですよ逃げては。まだ治療中ですから」
医師は少女の心臓を握り、拘束した。
ぐう、と苦しく唸り声を上げた。
心は疲れていようと、身体は元気。身体は生きている証拠だった。
「握りにくいので、電極は外しますね……。これでよく見えますね」
ギュッ、ギュッ、と何度も握り込んだ。それでも、息継ぎはできる。
「人を、殺すことが、治療なんですか」
「心を休ませるだけです。身体は生きてますよ。この通り」
「ぐう、くっ……」
心臓を握り、大人しくさせた。
命令に従わなければ、このまま心臓を握りしめるつもりだったのだろう。
少女は、元通り仰向けになった。
しかし、心臓は男の手によってまだ握られている。
なぜ心臓を握っているのか。
それは心臓に用があるからだ。
どこからか、注射器が現れた。
インフルエンザワクチンなどで用いられるような、小さなものだ。
それを、直接。少女の心臓に近づける。
針先が、動いている心臓の左心室に刺そうとした。
空中で止まる針。拍動ごとに収縮を繰り返す心臓。針が当たるごとに、ズキ、ズキ、と胸に……、心に鋭い痛みが走る。
少女に苦痛を与えるのがゾクゾクするらしい。医師のサディスティックさが顔の表情に現れ、小動物の肉を持ち上げて、接近させた。
食い込みが増量した。食い込み、食い込み、そしてついに、針が心筋の中に入った。
「うっ。苦しい」
「まだ針が入っただけですよ」
薬液が注入された。心臓内に冷たさが広がり、それから拡散した。
「これは直接心臓に作用する薬です。ほら、拍動が弱まっていく……」
どくっ、どくっ、とく、とく……。
「心停止液です。冠動脈に作用する……心臓が止まると同時にあなたの存在は消えます。人生お疲れ様でした。さようなら」
即効性のある薬液だった。
セリフを言い終わるや、心臓の鼓動が弱まっていく。返事もする余裕もなく、少女は大人しくなっていった。意識を失う。
身体は痙攣を起こしていたが、やがて心停止する。
医師は仮死状態を確認する。
まぶたを開いてペンライトを当てる。
反応なし……散瞳の確認。
「さて、このまま蘇生するのも癪ですから、仮死状態姦でもしましょうかね」
医師は自分の勃起したモノを少女の中に入れ、偽りの愛を育んだ。死体を犯しているような感じでも、都合が良いこともある。
早漏なので数分で射精した。
死にたてだから、少女の下半身の肉壁は死んだことに気づいていなかった。締まりは衰えず、男性器をしならせ、吐精させた。
中出しした精液は無断で膣内と子宮内を汚し、外に漏れ出たものはティッシュで拭い取る。それを、よく分からないが、心臓に付けた。
特に意味はない。医師の性癖だろう。
「さて、そろそろいいですかね」
医療用の除細動器を使い、挟み込むように心筋に押し当てる。露出した心臓の再起動。
「Good Luck」
バチンッ。
電気ショック一回で、露出した心臓が規則正しく動き始めた。そのことを確認した後、名残惜しむように胸の縫合を進めていく。
特殊な針と糸を使用して、切開した皮膚を寄せて傷口を縫った。最後に溝を埋めるように、ワセリンのような接着剤を塗布していった。
「さて、記憶を操作するついでに、人格もリセットしておきましょうか」
植物人間のように、無事呼吸も復帰した少女の頭に、メカニックな半円球の機械を被せる。
ヘルメットのように見えるが、外側にいくつもの太いコードが繋がっていて、重そうである。
スイッチを押し、一瞬だけ強い電気が流れた。
バチンっと脳が。次いでビクッと身体に電流が走る。
前頭葉の一部を活性化させる代わりに脳細胞の一部を電気で焼き切ることで、人格の再構築を促す代物だった。
「あっ、あれ?」
女の子はその衝撃で意識が覚める。
古い意識は消え、新しい意識に生まれ変わったのだ。
「お疲れ様でした。治療は終わりましたよ」
「ち、りょう?」
「そうです。どうですか気分の方は」
「清々しい気分です。まるで生まれ変わったみたい……」
医師はニコリと笑った。「手術は成功ですね」
心を治すために手術したことを伝え、数週間は病院にて安静にするように指示をした。
「心が疲れたときはまたお越しください」
「ありがとうございます」
女の子は笑顔を取り戻し、診察室を後にした。
「次の方〜」
つぎの患者と入れ替わった。
今度は小学生女子である。
小学生を連れてきた女性は、あとはよろしくと医師に伝えてサナトリウムから出ていった。