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③
隼人「なるほどねぇ・・・。もしかしたら、妖怪天生かもな。前にゆあんくんが言ってたんだけど」
里音「あぁ・・・あれか。イマイチ信じられねー」
直斗「どうします?中入りますか?」
隼人「何があるのか気になるからなぁ・・・。どうしよう」
3人でこそこそ話していると、扉が開いた。
3人「・・・」
女の子「・・・」
廊下に四つの悲鳴が鳴り響いた。
女の子「勝手に上がり込んで本っっっっ当に!申し訳ありませんでしたぁぁぁ!」
女の子は必死に土下座をして謝った。
大和「ちょ、待って待って!謝罪はわかったから顔上げて!」
女の子は|鬼頭涙華《きとうるいか》と名乗った。
涙華「まさか人の家に扉が繋がってるなんて、思ってもいなくて・・・。」
瑠奈「あの扉、一体なんなんですか?」
|水城瑠奈《みずきるな》が興味津々で尋ねる。涙華は言いづらそうだった。
襲「無理に言わなくてもいいよ。今すぐ知りたいわけじゃないしね」
|藤棚襲《ふじだなかさね》が慌てて付け足し、それを聞いて安心したのか、涙華は話し始めた。
涙華「・・・私、アヤカシビトって言う種族なんです」
優亜「アヤカシビト・・・妖怪天生の」
涙華「はい。私は生前、赤鬼だったんです。子供が好きで、よく村の子供達と追いかけっこをして遊んでました。力には自信があったので、村のお仕事を手伝ったりもしてました。自分で言うのもなんですが、村の人達の信頼は・・・大分得ていたと思います」
文彦「その頑張りが認められ、人間に生まれ変わることができた・・・と。そう言うことですね」
|森岡文彦《もりおかふみひこ》が簡単に話をまとめ、涙華はその通り、とでも言うように何度も頷いた。
涙華「村を流れる川に橋をかけようとして、足を踏み外して・・・。そのまま流され、滝壺に落ちてしまったんです。そして気がつくと、私は人間の赤ちゃんになっていました」
賢治「アヤカシビト本人が言うと、説得力すげえな」
|柴本賢治《しばもとけんじ》が感心しながら相槌を打った。
秋華「えーと・・・事情は分かりましたけど、あの扉の向こうって何があるんですか?」
信太「それ俺も気になった」
|登山秋華《とやましゅうか》の一言に、|小森信太《こもりしんた》も反応を示した。
涙華「普通に私達が暮らしてる町がありますよ」
辰哉「ドラゴンおるんか⁉︎」
身を乗り出して聞く辰哉に、涙華は冷静に答える。
涙華「ドラゴンのアヤカシビトはいないですけど、ヤマタノオロチのアヤカシビトならいますよ」
辰哉「マジすか⁉︎行きたい行きたい!そこ行ってみたいんやけど⁉︎」
涙華「うーん・・・お詫びになるかはわからないですが、皆さんを私の住む町にご招待します」