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出会いの本と境界の図書館 後編
「わあっ!」
どすんっ。
自分の部屋だ。帰りたいって念じたから…?
夢だったのか、ネームプレートが消えていた。はずした覚えもないのに。
でも夢だと信じられないことが起こった。
「この世界でわたしは」が、新品であった。
「きゃあああっ!?」
おぞましくなって、本を投げ出してしまった。するととたんに古くなっていった。
「…夢じゃなかったの…」
じゃあ、行きたいってねんじてみる?
行きたいっ…!
…できないじゃん!じゃ、ダメだな。夢だったんだ。
何、信じてたんだろ?
ぱらん。
「え?」
ネームプレートだ。
『本本良美 境界の図書館来訪許可証』
「夢じゃなかったのかな?」
それは中の紙が取り出せるようになっていた。紙は折りたたまれていた。
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--- 境界の図書館来訪ルール ---
・1日1時間、1回だけ来訪できるが、来なくても良い。
・朝7時から夜8時まで空いているが、それ以外の時間帯は来ないこと。
・本を傷つけないこと。
・境界を捻じ曲げないこと。
・自然の摂理を覆さないこと。
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「…あ、そっかあ…」
最後は分からなかったけど、少し安堵した。
「…読んでみるか」
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ほんとうに、ついていないな。
そう思った。
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そんな書き出し。
内容自体はまあまあ。
主人公が不登校になってしまい、そんな中奇妙な病にかかってしまう。闘病生活を送る中、主人公は自分の存在意義を考える…という感じ。
でもなんでこの本をおすすめしたのかは、分からない。
でも、フークがおすすめしたのだから、きっと意味があるはず。
明日、図書館に行ってみよう。
自室の本棚に、古くも新しくみえる本を入れた。