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雛月翠は信じたい。
職員室前に到着した二人は、真っ先に担当教師の元へ向かった。
そして、かくかくじかじか、30分講義の結果___。
「やったーぁ!!!!!」
「…はあ。長かった。」
翠の努力が認められ、無事、研究部に入部することが出来た。
「…ありがとう。前坂っ!」
いつもの『雛月翠』は何処に行ったのか、と言わんばかりに語尾なのだが付かない『本当の雛月翠』をあらわにした彼女を見て、柊斗は思わず微笑する。
「別に。でも報われて良かったな。」
「うん!」
元気に返事をした翠は、突然、はっとした表情を見せた。
「あ、、、っ。そーなのだっ…!」
「いや、今から弁解しようとしても無駄だからな?」
「う、。」
言葉に詰まる翠を見て、柊斗は苦笑した。
「あと、えと、その、、、。」
『|雛月翠《語尾なのだ不思議ちゃん》』はあくまで設定だったらしい。
『本当の雛月翠』はただのちっこい女子高校生、なのだ。
「別に、良いんだぞ。俺に対しては、その、。」
「?」
柊斗は翠から目を逸らしながら、ぼそぼそとした声で、言った。
「|雛月翠《本当の自分》をさらけ出しても…。」
翠は目を丸くした。その、真っ直ぐな言葉の矢は翠の心をすっと、射貫いた。
「あんなんじゃなくても…?」
「…ああ。俺はお前が、雛月が俺に対して、お前の本心をさらけ出してくれたのが、その、嬉しかった。」
「…。」
「だから、その!設定なんて作らないで…、表の顔だけを見せるだけじゃなくて、裏の顔も見せて欲しいなぁって…」
「…。」
「…なんか言えよ。気まずいだろうが。」
「…続けて。」
「…お前だって不安だろ。」
「…!」
翠は顔を上げた。
「お前だって、こんな世界入ったとしても、最初は誰も味方してくれないんだ。俺だって…。だから、俺がお前に味方してやるって言ってるんだ。」
あれ、なんでだろう。こんなの、いつもの俺じゃ…
「…前坂も、なんかいつもと違うぞ。」
「…っ。」
「…私も嬉しいよ。前坂の本当の自分、私にさらけ出してくれて。」
「!」
声が、言葉を発しなかった。
口が動かなかった。
「 **じゃあ、信じる。前坂が言ったこと。**」
「ちゃんと保証してよね?」
この言葉を聞いた瞬間、柊斗は『本当の雛月翠』がはっきりと見えたことが分かった。
これが、雛月翠。身長が小さいながらも、努力家で決めたことには真っ直ぐ前へ突き進んでいく、そんな女の子。
--- これが、雛月翠なのだ。 ---
なんか、変な回になりましたね…。。深いなぁ…。
次回もお楽しみに!
コメントとかも是非!
あと、更新めっちゃ遅くなって申し訳ないですm(_ _)m