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自分のBL小説キャラにした人が実は腐男子でした!!3
登場人物紹介(すっとばしてもいいです)
高槻礼奈(24歳)
イベント会社勤務のOL兼ケータイBL小説家。上司の朝霧蓮が編集者。このシリーズの主人公。
朝霧蓮(27歳)
礼奈と同じくイベント会社勤務のサラリーマン。立ち位置的には礼奈の上司。イケメンなのだが腐男子。エリートなのだが仕事以外では不器用でヘタレ
高槻朝海(22歳)
礼奈の二歳違いの妹。現役大学生。
浜井来戸(27歳)
朝霧の同僚で高校から一緒に居る。最近まで海外出張をしていた。イケメンでチャラい。
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1,イケメン王子様モードには気をつけろ
「あ”......あ”ぁ”ぁ......」
「どんな声出してるんだ。高槻」
コーヒーを持ちながら現れたイケメン、朝霧さんに突っ込まれる。
だけど、締め切りギリギリでスランプだからしょうがないと思うんだけど。
「まーたネタ無くなったの?礼奈ちゃん」
朝霧さんの後ろから第二のイケメン、来戸さんが登場する。
しょっちゅうネタがない......とぼやいてるからこそそんなこと聞かれるんだろうけど今回は違う。
「ネタはあるんですけどね......ちょっと問題が発生しまして」
朝霧さんがいぶかしげな顔をしている。
もしかして私が来戸さんとBLしろとか頼むと思ってるのかな。本当だったら失礼だけど。
「問題って何なんだ?」
「クリスマスデートの話にしようと思ったんですけどデートの経験が無いんですよね」
何しろ、彼氏いない歴=年齢なのだ、こっちは。
「礼奈ちゃんって付き合ったことなかったんだ」
「何ですか」
一応睨んでおく。告白はされたことあるもんね!!
「でも、今までの別シリーズの短編にデートの話とかはあっただろ?」
まぁ確かに朝霧さんの言う通りなんだけど。
「今回は甘切、しかも大事な場面なのでこれまでみたいになんとなく書くのは嫌なんですよ」
はぁ、とため息をつく私。そこら辺に簡単にデートさせてくれるイケメンはいないものか。
「つーまり、デートをしたいと。俺とかどう?」
来戸さんが軽い口調で言った。ただ来戸さんだと多分......
「来戸さんだと普通に遊ぶだけになりません?」
確かに、と呟いてすぐ引き下がった来戸さん。納得しちゃうんだ。ハハ
「それなら俺はどうだ?」
今まで傍観していた朝霧さんが横からコーヒーのごみを捨ててから言う。
確かに手っ取り早いけどいいのだろうか?
「朝霧さん予定とか大丈夫なんですか?」
「蓮はどーせ クリぼっち だから大丈夫だって!」
「あぁ大丈夫だ」
朝霧さんが真顔で来戸さんにチョップをかましてるのはスルーするとして、これでデートの経験が出来る訳だ。
「じゃあ24日いいですか?」
「分かった。じゃあまたな」
そして人生の一大イベント、初デート。を朝霧さんとすることになったのだ。
そして運命の24日は来た。
デートプランは協議の結果朝霧さんに任せたため知らないけど。
メイクも服も朝海に選んでもらってバッチリお洒落してきたのだ。
待ち合わせ場所は駅の大きなクリスマスツリーの下。
後ろ姿でそれっぽい人を見つける。
「朝霧さん?」
それにしても昼のクリスマスツリーは新鮮だなぁと感じる。
上にある星が青空と映えていていいかもしれないと思うけど。
「あぁ、高槻さん」
ん。さん?
「朝霧さん、変なものでも食べましたか?」
「変なものは食べてませんよ。高槻さんは辛辣ですね」
朝霧さんが敬語を使っている!?
いや、確かに仕事上使うときとかあるかもしれないけど。
ってかめっちゃニコニコだし!
しかもタートルネック着てる。イメージ無いのに。
「あ、人違いでしたー」
「棒読みで去ってくな」
あ、戻った。
「何ですか!? 急に敬語とか気持ち悪い」
驚きすぎて辛辣になったけどまぁいいや。
「気持ち悪いは酷いだろ。主人公敬語キャラだし、合わせただけだよ」
頭をかきながら不満そうに言っている朝霧さんがいつもの朝霧さんで少し安心した。
「そこまで合わせなくて大丈夫ですよ」
普段とのギャップで可笑しいことになりそうだし。
デートの途中で吹き出したくない......
「そうか。じゃあ行くぞ」
クリスマスの装飾が施された街中を朝霧さんと歩く。
「それにしても町全体が浮かれてる感じですよね~流石クリスマス」
「今日は高槻も多少ははしゃいでもいいんだぞ?」
「子供じゃあるまいし」
まぁそんな世間話というかどうでもいい話をしながら朝霧さんが連れてきたのはクリスマスマーケットが行われている広場。
「人おおっ」
「人多い所苦手だったか?」
心配そうに見てくる朝霧さん。
確かにデート中は相手が不満そうだったら気になるか。
「いえ、普通に驚いただけで苦手じゃないですよ?」
「それならよかった。今日は俺が奢るから高槻の妹とかにお土産買ってあげたらどうだ?」
「奢り......流石、儲かってるんだなコノヤロー!!」
「コノヤローって何だよ。コノヤッハッ」
何かツボったらしい。ほっといて先行こうかな......
ここは真ん中のツリーを中心にお土産から食事まで何でも売ってるらしい。
何を買おうか迷うなぁ。
「おい」
「何ですか?」
今、お土産を品定めしてるところなんだけどな。
「一応これデートなんだが」
「すっかり忘れてました」
完全に私の中の朝霧さんは不器用でヘタレで愛されキャラみたいな感じだから忘れていた。
「はぁ、先が思いやられるな」
そう言うと朝霧さんは自分の手と私の手を繋いできた。
「ちょっと!?」
「デートなんだから手ぐらい繋ぐだろ」
たーしーかーにー。でも、この指を絡める繋ぎ方は恋人つなぎという奴では......煽らなければよかった。
「高槻、これとか似合いそうだぞ」
私が後悔していると朝霧さんがサンタなどが編み込まれたクリスマスカラーのマフラーを手に取っていた。
「そうですか?」
誰かと手繋いだりしないから動きづらい。
「絶対似合うな。マフラーぐらい何個かあっても使うだろ」
朝霧さんは私が返事をする前に買ってしまった。
「あ、私お金払うのに」
申し訳ない。別に自分が身に着けるものぐらい自分でお金を出すのに。
「今日は俺が奢るって言ったろ。それにクリスマスプレゼントでも思ってくれればいい」
大きな手が迫ってきて買ったばかりのマフラーが首に巻かれる。あったかい。
そんなこと言われたら押し返すことも出来なくなる。
「じゃあ、私も何か買いますから」
やられっぱなしも嫌だしねってことで私は朝霧さんにマグカップを買ってあげた。自分が奢ることが出来なかった朝霧さんは不服そうだったけど。
「お土産も買いましたしそろそろ次の所行きます?」
「だな」
荷物は勿論朝霧さんが持って次の場所に向かう。
「次は外で冷えたと思うし中がいいと思って」
朝霧さんはショッピングモールに入っていく。
「あったかいですね~。やっぱり冬は寒い」
確かにナイスチョイスだと思う。ずっと外で寒かったら楽しめるもんも楽しめない。
周りにたくさんいるカップル達と同じように他の人達に映ってるのかと思うと気が気じゃないけど。
「少し遊ぶか」
目の前にはゲーセン。朝霧さんにしては珍しいチョイスなのかな?
「何します?朝霧さんも出来そうなゲーム......」
大人二人でするのだからマシなのを少しは選ばなければいけない。
「太〇の達人とかは?」
朝霧さんもろ下手そうなの提案してるけど大丈夫なのかな。
「別に私はいいですけど」
さっそく朝霧さんのお金で二人プレイ。今日奢られすぎなんじゃ......
曲はhabit。私の難易度はむずかしいで朝霧さんの難易度は鬼。
朝霧さんクリアできるか?という心配はどこかへ飛んで行った。まさかの朝霧さん不可を10にまで抑えてクリアしたのだ。
人って何が得意か分からないものだよね。
「ちょっ、次クレーンゲームしましょう」
因みに久しぶりにむずかしい三連発したせいで私はへとへとです。
「欲しいのでもあったのか?」
確かに、欲しいものといっても......あ、猫のぬいぐるみがある。
「じゃああの猫のいいですか」
「まかしとけ」
まぁ大きい奴だし、無理だと思うけど。
「これでいいか?」
「はい?」
「え、ぬいぐるみ」
朝霧さんが猫の頭を鷲掴みにして立っている。大丈夫か猫さん。
「とりあえず鷲掴みやめましょう」
もしかしたら朝霧さんはゲーセンでは無双なのかもしれない。
ゲーセンを出てしばらく歩いてると朝霧さんが止まった。
「小腹空いたかと思ってたんだが。ここたい焼きとか色々高槻の好きそうなのあるぞ」
そこにはたい焼きや和菓子が売っているテイクアウト専用のお店があった。
「おいしそう!!」
あんこ、クリーム、カスタード、レアチーズ、様々なたい焼きに大福まで。
なんて最高なお店なんだろうか。
「えっとじゃあカスタードとあんこが混ざったたい焼きで」
すぐに買ってきてくれる。意外と朝霧さんはスマートらしい。いや、スマートが当たり前......ダメだ頭が絡まってきた。
「高槻、先半分食べて」
とりあえず言われたとおりに半分を一口で食べる。ちょっと(?)がっつきすぎたかもしれない。
そんなことを思ってると朝霧さんがもう半分を食べている。
「ちょっと!! 私のたい焼き!!」
というか間接キス!! 気づいてないんだったら怖いって。
「全部高槻にやるとは言ってない」
最後の一口も朝霧さんの胃袋に消えてしまった......無念。
「というか、間接キス!!」
そうそう、たい焼き半分食べられたことと同じぐらいヤバイ事を忘れるところだった。
「あ」
「気づいてなかったんですね......」
「口にクリーム付いてるぞ」
ごまかしたぁぁっぁ。ま、まぁいいけど。デートとクリスマスの雰囲気って怖いな。
たださらにここから朝霧さんの王子様度は増していった。
いつもより笑顔だし正直別人か疑うけど姿は朝霧さんそのものだし......としょっちゅうドキドキしっぱなしだ。
少女漫画の要素全て詰め合わせたみたいな甘ったるさなのだ。
今は夜だし、ファミレスでドリンクを取りに行ってもらっていないけど。
ということでラ〇ンにて姉、妹を頼ります。
『朝海!! 相手を傷つけずにデートをすっぽかすにはどうすればいい?』
こんなこと聞くのもおかしいけどしょうがない。
そして既読はついたものの待てども待てども返事が来ない。
見捨てられたかもしれない、と気づいたのは朝霧さんが既に角を曲がったところでした。悲しいなぁ......
『朝海ぃぃぃぃぃ既読無視するなぁぁぁっぁあ』
朝霧さんの到着まで3秒。
そんな中陰でコソコソ動いている者がいたという事を礼奈は知る由も無いのだ。
その者は高槻朝海と浜井来戸。
朝霧に頼まれデートプランを考え今日までサポートしてきたのだ。
どこでどのようなイベントがあるのか調べ、姉の好みに合わせ、完璧になるように太鼓の達人、クレーンゲームの練習に付き合い......とこの二人の手助けあってのこの王子様朝霧、故にラ〇ンも既読無視という訳だ。
『朝霧さん来ちゃったじゃぁぁぁぁぁぁぁんおおおおおおおい』
ダメだ。このままではラーメン〇郎並みに王子様度マシマシ朝霧さんにやられる。
どうにかしなければ。
「大丈夫か?」
いーつのまにか隣に来てるネ。終わったアルネ。顔近いし、キラキラしすぎだろ。
王子様スマイルとか朝霧さんすることじゃないって
「ちょ、ちょっと待ってください。朝霧さん」
「何だ?」
いや、なにそのきょとんとした顔。自分何も悪くないぞ感出してるんじゃないよ
「このままじゃ、少女漫画ですよ!!」
「いや、そういうわけじゃ」
「駄目です」
私の睨みが効いたのか効いてないのか知らないけどやっとキラキラオーラは収まった。
「どうしたんですか?いつも通りの朝霧さんで丁度いいって物を......」
「いや、次の甘切の話はしっかり読者をキュンキュンさせてほしかったからそのためには俺がまず高槻をキュンキュンさせる必要があると思って......」
いや、何その可愛い理由。
ってか相変わらず顔近いから今度は別の萌えでタヒぬんですけど。
「すまん、たかt」
ドンガラガッシャーン
「いってててて」
大きな音がしたと思ったらそこには来戸さんと朝海が重なって倒れてたのだがどういうこと!????
「お前ら出てくるなって!?」
いや、朝霧さん二人来てるの知ってたの?
聞いてないってか聞いてたらデートじゃないし。
「アハハハッハ」
「二人とも空笑いしないで話を聞かせてもらおうか」
ということで、二人の協力であのキラキラ朝霧さんが出てきていたという訳
だ。
本当に私のあのドキドキを返してほしいよ......
そして四人で仲良くクリスマスの街中を帰ったのでした。
2,大晦日は皆で
「おーい!!大晦日ぼっちの蓮~」
「うるせぇよ」
気分を害したのだろう朝霧さんに声をかけた来戸さんは後ろ回し蹴りを入れられる。受け身は勿論取っているだろうけど。
「いや、ここ会社だし。ってか足上がらなくなったね」
「特に誰も見てないから大丈夫だろ。足が上がらないのはスーツだからだ」
「誰も見てない......か」
「誰かいたのかって高槻!?」
そう、私が実は植木の陰から激写していたのでした☆
「この前はありがとうございました~」
お陰で締め切りの25日当日にエグイぐらい高速で書く事になったけどね。
まぁ自分でも自信はあるし、評判も最初の方だけどいい感じだし感謝は本当にしてるよ。
「別に特に何かしたわけじゃないが」
「本当にお前は何もしてないよな」
はぁ......とため息をつく来戸さん。
デートプランの基礎を考えたのは来戸さんらしいしそうなるだろうね、ハハ。
まぁ改めてウォッホンと仕切りなおして
「今年はぼっちじゃないですよ!! 朝霧さん」
そう、私の家で大晦日パーティーをするのだが二人を誘っているのだ。
まぁパーティーなんて名ばかりで特に他に誘う人もいないからいつもの四人で仲良く年を越そうという可愛いものだけど。
「おー楽しそうじゃん!!」
「ああ、俺も参加しよう」
二人とも参加してくれるみたいだし年越しも楽しそうだ。
「あのー朝霧さん......」
端の方にいつの間にか女性社員がいて朝霧さんを呼んでいる。
「後で連絡する。じゃあ」
やっぱりエリートは忙しい......。
24日も無理矢理有給休暇使ったとかだったら申し訳ない。
「そういえば礼奈ちゃんは蓮の事どう思ってるの?」
何を思ったのか来戸さんが私に聞いてきた。
「うーん少し悩みますけど、面白くてエリートなんだけどヘタレでとってもいい編集者様だと思ってますよ?」
素直に朝霧さんの特徴を言うとこんな感じじゃないだろうか。
「じゃあもしかして礼奈ちゃんって蓮に恋愛感情って無い?」
「いや! いつも見てたら分かりますよ。急に何言うんですか......」
ホントに急に恋バナとかびっくりするからやめてほしい。
「へぇー。あ、俺も仕事戻るね!!」
一瞬来戸さんが何かいつもと違う雰囲気だった気がしたけどすぐ戻ってしまって確かめることはできなかった私なのでした。
「いらっしゃーせー。お、朝海ちゃんじゃないかい!」
三時頃、私は空いた時間を使って明日の大晦日に備えて買い出しをしていた。
ここはよく知っている商店街の八百屋さん。野菜が新鮮で安いのが売りだ。
おっちゃんもいい人でいつもおまけをしてくれる。
「味噌鍋に居れたらおいしい野菜ってどのくらいある~?おっちゃん」
「かぼちゃだろー白菜、ネギ、何でもそろってるよ!」
このように威勢よく答えてくれるしこっちも気持ちいい。
どれがいいかな、と一つ一つ手に取ってじっくり考える。
この時間が一番買い物の中で楽しいかもしれない。
「あれ?あ、やっぱり!朝海ちゃんじゃーん!」
キーンと耳に響く大きな声が聞こえたかと思うとこちらに男性が走ってくる。
イケメンだしクッソ目立つんだからやめてほしい。
「あれ、朝海ちゃん知り合いかい?」
「おっちゃん、気にしないで大丈夫。顔見知り程度だから」
「いや、一緒に遊園地行った中じゃん」
いつの間にか隣に来ているのだけど。
「私は姉の付き添いで行っただけなんで」
買い出し中だし、そもそも来戸さん仕事中だと思うけど。
「つれないなぁ、何の材料買ってるの?」
「鍋」
応える間にもかぼちゃ、玉ねぎ、ネギ、白菜、とかごにどんどん材料を入れる。
「おっちゃん、これよろしく」
「俺払おうか?」
「彼氏面ですか。やめてください」
サッと自分のお金で払ってしまう。
おっちゃんは珍しく私が不機嫌なのにわたわたしてるが仕方ない。
「荷物持とうか?」
「大丈夫です。貴方会社でしょ」
「いや、今日は直帰だし大丈夫」
イベント会社、大晦日なのにコイツ直帰させて大丈夫なのだろうか......
「あ、お肉忘れるところだった」
この人と喋ってると注意力が散漫する。
そして肉屋でもこの人は
「今度こそ俺が奢る!!」
「いいです」
本当に何なんだ......もしかして。
「貴方、朝霧さんが姉ちゃんに奢ってる所がかっこよかったんですか?」
図星なのだろう、ぎくぅみたいな顔をしている。
その間にパパッと会計を澄ましてしまう。
「あ、今度は俺持つから」
「あ、ちょっと」
油断していたし力も強いから取られてしまった。
「女の子なんだしもっと頼ってくれてもいいんだけどな」
「頼るも何もそんな仲じゃないですから」
私はそっぽを向く。不覚にも顔が赤いのは袋を取り合ったせいのはず。
それは、言い訳をしながら貴方と帰った日のお話。
そして、大晦日!!
ピンポーン
マンションのインターフォンが響く。
「高槻~」
「礼奈ちゃん!!朝海ちゃん!!」
二人とも時間ぴったりというか2.3分前に来てくれた。
「寒かったでしょー。どうぞどうぞ」
二人とも靴をしっかりそろえて入ってくる。
「もう二人とも来たんですか」
朝海は後ろの二人を見て言っている。
「あ、この前はども、朝海ちゃん!」
「ども」
なんか二人この前あったの?
私知らないんだけど......
「姉ちゃん、夜ごはんにはまだ早いと思うよ」
「じゃあ、ゲームでもしようか」
来戸さんの件をうやむやにしてる気がするけどまぁいいでしょう。
「何しますー?」
ゲームカセットを見せて聞く。
「太鼓の達人」
「マリカー」
「マリカー」
「マリカー」
朝霧さん......。一瞬の沈黙の後朝海がこういった。
「じゃあ満場一致でマリカーで」
「俺をはぶくな!!」
ナイスツッコミ。朝霧さん
もちろん、ワルハナ構成でやっていく。
「スターカップでやっていきますよー!」
とりあえず朝霧さんに負けることは無いと思う。というか負けたくない。
「これ、Aで進むのか......?」
うん、これだもん。誰だって負けないと信じている。
「スタダミスッタァァァ」
「姉ちゃんうるさい」
「バナナァァァァァ」
「来戸さんもうるさい!!」
誰だって、マリカーやったら叫ぶって心理じゃない......?
「なんか逆になってるんだが、これどうしたら」
ちなみに朝霧さんは皆無視している。ご愁傷様。
ということで順位発表。comも含めると12位まである中で1位に輝いたのは誰なのか....ジャンジャカカカカジャン
朝海≫1位
礼奈≫3位
来戸≫4位
朝霧≫12位
朝海はぶっちぎりで、私と来戸さんは接戦だったと思う。点数も1点差だし。
朝霧さんは......
「誰も遊び方教えてくれないから......」
朝霧さんの不器用さってゲームにも影響するらしい。
まぁこの言葉から分かる通りだけどご想像にお任せする。
「鍋、煮込めたよ姉ちゃん」
ワイワイとしていたけど気づいた朝海が教えてくれる。有能な妹、最&高。
「はい、今回は味噌ベースのお鍋でーす!!」
「おぉー」
まぁ仕込みとかほぼ朝海がやったんだけどね。
「ってかこたつめっちゃあったかいよなぁ」
「それは俺でも共感できる」
二人の家にこたつって無いのかな。めちゃくちゃ好評。
「やっぱおいしい」
「だねぇ」
二人を置いて姉妹で先に食べてると
「あ、高槻!」
「二人ともずるっ」
二人とも競うように一緒に食べ始めるのでした。
ってことであっという間に完食。冬は鍋に限る。
「高槻、トイレ借りたいのだが」
朝霧さんがこたつから出る。
「あ、行きますよ」
まぁ寒いからブランケットを引きずっているのだけど。
「ブランケット引きずってるし転ぶぞ」
「大丈夫ですよ。そんなヘマはしません」
ここのドア開けたらあります。と朝霧さんにトイレを教えてどこうとしたその時、朝霧さんが私のブランケットで足を滑らせた。
ドンッ
「大丈夫か?」
うん、まぁ大丈夫なのだけど......壁に押し付けられてるしまさにこれは壁ドンというやつなのでは!?
続く