公開中
私は東京の秘密を知っている 六話
木曜日の朝、表は街の中心を見渡していた。
光の筋はまだ空を走り、街全体の色や音を微かに揺らしている。
しかし、今までと違い、表は光の筋の動きや規則を完全に把握しつつあった。
——これが……光の筋の核心……
表はノートを握りしめ、街の消失パターンと光の筋の交差点を照らし合わせる。
影の子が近くで色と音を少し戻し、沙月は裏から表の行動を微調整する。
片原先生が静かに表の隣に立ち、低い声で告げる。
「表……これが両親の最後の研究の成果よ。街の色と音を守るための……そして光の筋の正体」
——両親の研究……私が理解できる時が来た……
光の筋は、街の記憶を整えるための「調整装置」のように動いていることがわかった。
色や音が消えるのは、装置が街の情報を一時的に整理しているからだった。
表は息を整え、決意する。
——私は、この街を守りながら、両親の研究を完成させる……
商店街中央の交差点に立ち、表はノートに書き込みながら光の筋に沿って歩く。
影の子が補助し、沙月が裏から微調整。
一歩ごとに街の色と音が戻り、建物や看板も鮮やかさを取り戻す。
夕暮れ、街全体が安定し、光の筋もゆっくりと消えていった。
表は深く息をつき、街を見渡す。
——やっと……街は守られた……
——両親の想いも、少しだけ理解できた……
夜、沙月は影から表を見守る。
——今日も街は守られた。
表にはまだ知られないけれど、裏で支える役割は続く。
表は窓の外を見つめ、静かに心に誓った。
——街を守り、両親の研究を完成させる。
——これが、私の役目……
金曜日の朝、月学の寮の窓から表は街を見下ろしていた。
光の筋は完全に消え、街の色と音は安定していた。
人々の声も、子どもたちの笑い声も、道端の花の色も、以前より鮮やかに見える。
——やっと……街は平和になった……
表はノートを開き、光の筋の動きや街の変化、両親の研究について書き残す。
影の子は近くで微かに手を動かし、街の調整を続けていた。
沙月は影から表を見守り、今日も裏で微妙に誘導している。
——表にはまだ秘密だけど、街の安全は私たちが支えている。
校内の掃除バイトにも慣れ、表は街の回復状況を観察しながら日常を過ごす。
片原 京先生は相変わらず優しく見守りつつ、ときどき表に新しい研究のヒントを渡す。
——街も、私の生活も、少しずつ戻ってきた……
窓の外で時計台の針が静かに動き、街の音が風に乗って響く。
表は深く息をつき、微笑んだ。
——でも、戦いはまだ終わっていない……
——光の筋の謎、両親の研究……まだ全部解明したわけじゃない。
それでも、今日の街は守られた。
——沙月も影の子も、私を裏で支えてくれている。
表はノートを閉じ、明日も街を見守る覚悟を胸に刻んだ。
——これが、新しい日常……
春休み前のある日、表は月学の寮でノートを開いていた。
光の筋の事件は落ち着き、街は平和を取り戻している。
しかし、表の心には新しい目標があった。
——両親の研究……まだ全部解明していない。
——もっと深く知るには……
片原 先生が静かに表の隣に座り、封筒を差し出す。
「表……あなたに京都校への留学の話が来たわ。両親の研究をさらに深く学ぶには最適の環境よ」
封筒には京都校の正式な推薦状と学習計画書が入っていた。
京都校は、都立聖東京月夜学校の姉妹校で、研究施設や資料がさらに充実しているという。
——京都……新しい街、新しい環境……
——でも、両親の研究を進めるためには、行くしかない……
沙月は影から表を見守り、微かに微笑む。
——表はまだ知らないけれど、京都でも裏から支えるわ。
影の子もそっと近くで、微かに街の残りの調整を補助する。
——表の力をサポートし続ける。
表は封筒を握りしめ、深呼吸する。
——街も、両親の研究も、そして自分の成長も……
——京都校で、もっと進めるはずだ。
夜、窓の外に広がる東京の街を見下ろしながら、表は決意を固めた。
——よし……行こう。新しい日常と、新しい挑戦へ。
お終い
私は東京の秘密を知っているは、お終いですが、次、「私は京都の秘密を知りに行く」
が続編となります。