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私たちの日常 ミアレガレット 昼は忙しい
ミアレシティの昼下がり。街が一番の活気に包まれるこの時間は、ポケモンセンターも戦場のような忙しさになります。
PM 1:00 戦場のような忙しさ
「いらっしゃいませ! すぐに診察の手配をしますね。大丈夫ですよ、安心してくださいっ!」
つばさの明るい声がロビーに響き渡ります。ひっきりなしに訪れるトレーナーたちの対応をしながら、テキパキと指示を出していきます。
奥のケアルームでは、らこが傷ついたピカチュウを抱えて走り回っていました。
「らこ、そっちの包帯、私が巻くよ!」
「ありがとう、しおん! 助かるーっ!」
しおんは無言で、けれど正確な手つきで薬を調合し、次々と運んできます。
このみも、怯えるポケモンたちの背中をそっと撫でて落ち着かせ、スムーズに診察ができるよう陰ながら支えていました。
PM 2:30 遅めの昼休み
ようやくピークが過ぎ、4人は裏の小さな休憩スペースに集まりました。
テーブルに並ぶのは、朝の残り。お鍋の底に残っていた、冷めて少し固まった**「薄いおかゆ」**です。
「ふぅ……。今日もみんな、お疲れさま! 頑張った後のご飯は最高だねっ!」
つばさは無理に明るく振る舞いながら、冷たいおかゆを口に運びます。
その時、開いた窓から、ふんわりとバターと砂糖の香ばしい匂いが流れ込んできました。
ミアレシティの名物、**「ミアレガレット」**の香りです。
「……くんくん。あ、これ、ガレットの匂いだ。いいなぁ、いつか4人で食べてみたいね!」
らこが空のお椀を抱えながら、窓の外を羨ましそうに眺めます。
すると、このみがしおんの袖をぎゅっと握りながら、つばさを見上げて小さく呟きました。
「……つばさおねえちゃん。あのミアレガレット……1つ100円だって……」
100円。
彼女たちにとっては、何日分ものお米が買える大金です。
一瞬、部屋が静かになりました。
しおんは黙って俯き、つばさは一瞬だけ悲しそうな表情を見せましたが、すぐにいつもの太陽のような笑顔を作りました。
「……そっか、100円か! よーし、決めた! みんなで一生懸命働いて、いつか絶対に、一人1つずつミアレガレットを買って、この屋上で食べよう!」
「本当!? つばさ、約束だよ!」
らこが飛びつき、しおんも少しだけ瞳を輝かせました。
「……うん。約束。100円、4人で400円……。頑張って貯めようね、このみ」
しおんがこのみの手を握ると、このみも「うん……」と力強く頷きました。
冷たいおかゆしか入っていないお腹。
けれど、4人の心は、いつか食べる「100円の幸せ」の香りで、ほんの少しだけ満たされていました。