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第二話 不機嫌な日陰くん
「深夜3時の旋律」第二話です。
忘れてると思うので1話から読むことをおすすめします。
実際、私も忘れてましたので。
キーンコーンカーンコーン
4限目の終わりを告げるチャイムが鳴り、生徒が次々に席を立つ。
お昼休みの時間だ。
「りっちゃん、お弁当食べよ~」
手にお弁当袋を下げて私の机へ駆け寄ってくる未来。
本当は未来と二人で誘われるがまま食べるのが楽で理想だが、私にはやらないといけないことがある。
「食べよー!……あ、零澤くんも誘っていい?」
「りっちゃん、零澤くんをいっつも気に掛けてるよね、やっぱ優しいね。」
「ありがと!じゃあちょっくら行ってくるわ」
そういって窓側の一番後ろにあるいわゆる当たり席の零澤くんの机へ向かう。
すると、零澤くんはいつものように窓の外を眺めていた。
零澤くんは、いわゆる陰キャ。
窓の外を鋭い目付きで眺めているか、ヘッドフォンを付けて何かを聞いているかの二択でクラスの女子からは「いつも不機嫌で怖い」と言われている。
だから、あだ名は「不機嫌陰キャ」。
ちょっと可哀想な気もするけど、ぴったりな言葉だと思ってしまう。
ごめんね、零澤くん。
零澤くんは、ボサボサヘアの目にかかった前髪と度の強そうな丸縁眼鏡で、顔はほとんど見えない。
背は180cmぐらいあるし、顔も小さいからきちんとしたらモテそうなんだけど……
……まあ、この内面じゃ無理か。
さっきから話しかけてるのにこっちを見もしない零澤くん。
こりゃ、「不機嫌陰キャ」って呼ばれますわ。
今日もダメか、とがっかりしているような演技をしながら自分の廊下側の一番後ろの席に戻った。
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未来と寄ってきた友達と雑談しながらお弁当を食べている時。
突然、後ろから肩を叩かれた。
くるりと後ろを向くと、そこには見慣れた顔の男子がいた。
「律、今日帰り一緒に帰れる?」
そう聞いてきたのは私の幼馴染み、|織田遥《おりたはるか》。
175cmぐらいの身長にマスクと眼鏡の彼はとても優しいと学校中で人気のある王子様。
学校では頑なにマスクを外さなくて有名で、昼休みはどこでお弁当を食べているのか誰も知らないらしい。
私が聞いたところ「うーん、気まぐれかな」だそうだ。
遥、顔は結構なイケメンだったはずだけど……どうしてマスクしてるんだろ……
うーん……と悩んでいると「帰れるの?」と声を掛けられた。
しまった、会話の途中なんだった。
「うん。お母さん遥連れてきてって行ってたからうち来れると思う。」
今朝、お母さんが言ってたことを思い出してそう言う。
「うち、今日母さん出張でさ。父さんはいないし。で、律の家で夕飯食べさせてもらえることになってさ。」
そう言うことか。だから。
「へー、じゃ、帰り待ってるね。」
そう言うと遥は、はーい、と自分の席に戻っていった。
彼との距離が3mほどできると、とたんに未来が口を開く。
「りっちゃんと織田くんって幼馴染みなんだっけ。織田くん、人気だから大変じゃない?」
男にあまり興味がない未来は淡々とそう言っているが、他の友達はキャーと遥の近くにいられたことを喜んでいた。
こういう雰囲気がとても苦手な私。
はは、と苦笑いをして「お手洗い行ってくる」とこの場から離れた。
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別にトイレに行きたかった訳じゃないので廊下をぶらぶらと歩く。
少し歩いたところに中庭があったので日陰に置かれたベンチに腰を掛ける。
ふうっ、と息をついて辺りを見回したその時、
「っ!!!」
横に人が寝ていることに気が付いた。
え、何?気配完全に消してたの?全く気付かなかった。
踏まなくて良かった、と安心した。
ふいにその人の方を向くと瞼がちょうど開くときだった。
ばちん、と目が合う。
そして、気づいた。
この人、知ってると。
一年A組の|依田歩《よりたあゆむ》くんだと思う。多分。
いつもフードを被って寝ていて、何を考えているのかさっぱりわからないと噂の。
思わずじっと見つめてしまっているとうざったそうな視線を送られた。
さすがに、寝顔をみられるのは不思議くんでも嫌だったかとベンチから立ち上がり校舎に戻った。
校舎の窓からもう一度依田くんの方を見るとすやすやと気持ち良さそうに寝ている姿が見えた。
……やば、なんかいい歌詞浮かんできちゃった。
そう思った私はすぐにポケットに入っていたスマホを取り出しメモを書いた。
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一心不乱にメモを書き綴っていたとき「こら。」と落ち着いた声が後ろから聞こえた。
歌詞を打つ手を止めて振り向く。
そこには、見たことのある男の人が立っていた。
……あ、生徒会長だ、この人。
確か|宇佐湊《うさみなと》って名前だったと思う。
丸縁眼鏡を付けているのに異様なイケメンオーラがすると有名らしい。
私は全く興味ないけど。
「校内ではスマホは使用禁止だよ。今なら見逃してあげるからほら、しまって。」
どうやら、このスマホが声を掛けられた原因らしい。
先生にチクられでもしたら面倒だから素直にスマホをしまう。
「以後気を付けます。」
そう言うと
「そうしてね。今ね僕、先生にスマホを承認してもらえるように頑張ってるから。もう少しだけ我慢して。」
ふぇ……そんな提案してくれてるんだ。
生徒会長がモテる理由が少しわかった気がする。
優しい?っていうのかな?
「ありがとうございます。会長。」
そう言って頭を下げると
「いいのいいの、覚えてくれてる事実でいくらでも頑張れるし。
またね。」
そう言って立ち去っていった宇佐会長。
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教室に戻ろうと体の向きを変え、歩き出す。
すると、ぼそぼそと話し声が聞こえる。
「こ、子旋さん……」
ん……?呼ばれたような……?
辺りを見回すと怪しい人影が。
あぁ……3年の|影山忍《かげやましのぶ》先輩だ。
影が薄い、根っから陰キャと噂の。
「あ、どうかしました?」
思いきって声をかけた。
すると影山先輩は震えて……
「ひ、ひぇ!!す、すみませんっ!!」
そう言って走り去って行った。
なんなんだろ、あの人。
謎だな……
そう思いながら私は教室に戻った。
はい。伊吹です。
想像以上に長くなりました。すみません。
でも大分説明を進められたので次回はストーリーが大きく動きます。
次回も読んでくれると嬉しいです。