公開中
何処かずれた昔話 第零話 妖本屋
「__いらっしゃいませ。お客様。本日はどのような物語をお探しでしょうか」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この世には、たくさんの昔話がある。
桃太郎、大きなかぶ、シンデレラ、・・・などなど、たくさんの昔話が。
この書店にある本は、全てが原作とは少し違っている。
大切に読まれてきた物語は、持ち主の意を汲んで起承転結が変わる。
|結末《ラスト》で敵と仲良くなったりなど、それはもう様々に。
まぁ、所謂 『生きている本』 だ。
この書店では、普通の本と区別するために”|妖本《ようほん》”と読んでいる。
ここの物語は、何処かがおかしい。
それはもう、分かりやすく違う。
最後に主人公が|幸せに終われる《ハッピーエンド》かは、読み手によって変わる。
今日のお客様は、どんな本を探しているのか。
この古書店の名前は|妖本屋《ようほんや》。
本日も不思議な物語を求め、個性豊かな人達が|扉の鈴《ドアベル》を鳴らす。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「本日も妖本屋は、求める者に向けて開店いたします」
求める者にだけ視える、不思議な書店。
『屋本妖』と書かれた看板の掛かった店を見つけられるのは妖本屋のお客様のみ。
本日最初のお客様は、一体|何方《どなた》なのでしょうか。
からん
からん
扉についた鈴が、軽やかな音を立てる。
入ってきたのは小学校高学年くらいの女の子。
黒髪を一つ結びにしていて、今から家に帰ると思わせる格好をしていた。
最も、この妖本屋に続く扉は様々な時空からお客様を見つけ出す。
妖本屋は、時間の流れが他とは違う。
だからこそ、不思議な本が集まりやすいのだ。
「__いらっしゃいませ。お客様。本日はどのような物語をお探しでしょうか」
続く