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episode3. パーティにいる理由
エレンがパーティ『ドズル社』に所属して数日。
ドズルの思いが完全に動かされる出来事が起こった。
それはクエストを終え、宿屋で休んでいる時のこと。夕食の時間で起きた。その時食堂___というより宿屋には、ドズル社しかいなかった。
1人離れた席で黙々とカレーを食べていたエレンに、ぼんじゅうるが近づいてきた。
この時のエレンは、仮面を半分だけ外し、口と右目が見えていた。
エレン「なんですか」
エレンが淡々と尋ねると、ぼんじゅうるはバカにしたように鼻で笑い、
ぼんじゅうる「お前さ、なんでこのパーティに来たわけ?」
そう聞いてきた。
エレン「他に人数が空いているところがなかったからですよ」
エレンはまた淡々と答え、机に向き直ってカレーを食べ進める。それがぼんじゅうるを更に苛立たせたのか、
ぼんじゅうる「だとしてもさ、女嫌いって受付嬢絶対言ってたよな?わかってて入ったのかよ?」
自分の机に戻る様子もなく、しつこく聞いてくる。
**バンッッッ!**
突然鳴り響いた爆音に、ぼんじゅうるは後退りする。エレンが机を渾身の力で叩いたのだ。
エレン「悪いですか?」
エレンの声は低く、自分より頭一つ分でかい男を鋭く睨む。その顔は、般若にも劣らぬ恐ろしい形相だった。
エレン「女嫌い?ええ、聞いてましたよ。それが何か?嫌いなら勝手に嫌ってればいいじゃないですか。避ければいいじゃないですか。関わらなければいいじゃないですか。だから私から関わるようなことはしていませんし、1人の時間を出来る限り増やしてますよね?今日だって、6人部屋はあったのに私だけ1人部屋に変えましたけど?」
エレンはただ捲し立てる。その勢いに、食事を食べていた他のメンバー4人も目を向ける。
エレン「ならなんでこのパーティにいるかって話になるでしょうけど、単純明快です。私はただ、“パーティに所属している”と言う肩書きが欲しかっただけです。パーティに所属していれば、クエストを受けられますし、お店で買い物できますから。貴方達に嫌がらせしたいわけでも、邪魔しにきたわけでもないです」
エレンの言葉は止まらない。ぼんじゅうるは完全に固まっていた。
エレン**「陰口も嫌がらせも、ご勝手にどうぞ!私はなんとも思いませんので!」**
そう吐き捨てたエレンは、残っていたカレーをさっさと食べ終え、返却口に持って行った。
食堂のおじさんとバイトの女性に謝罪し、エレンは自分の部屋に戻って行った。
ぼんじゅうるを含む5人は、しばらくその場から動けずにいた。