公開中
かごめかごめ 後編
グサグサ、という鈍い音が響く。
「ユウナ!?ジュリ!?」
あの女の子のせいかな___
「目を覚まして。もうかごめかごめなんて良いから」
あの女の子の声だ。
パッと伏せた目を開く。眩し、と一番初めに感じて、次に感じたのは恐怖だった。
「ジュリ!?」
ユウナが青ざめた目で見ていた。
「ごめんなさい…」
女の子が謝る。バタリと倒れたジュリ。
「わたしはレイ。ズルが嫌いなの…。この子、あなたの後ろに回った時、ちょっとだけずらして、後ろにならないようにしたの。ミヅキとケイコ、だったかしら?あの子たちも、ジュリが毒草を盛ったみたいなの。もう回復はできないかも…。後遺症は残ると思うわ」
「嘘つき!ジュリがそんな事するわけ無い!」
「そうなのね。では、彼女を起こしてあげるわ。もう一度、かごめかごめをしましょう。今度はわたしが当てるし、歌も歌うわ。あなたたちは、ただ回ってもらうだけでいいわ。ジュリのズルを、しっかりと目に焼き付けて」
ムクリと起き上がったジュリは、ぽんやりとしていた。
---
綺麗で艶のある声で、レイは歌った。わたしたちは、レイの周りをぐるぐるとまわる。
♪かごめかごめ ズルをした子供 いついつ出やる
黄昏時に ズルをした子がいる ズルをした子だあれ♪
妙な替え歌だった。そして、「後ろにいる人が、ズルっ子で、お腹を痛めた犯人よ」とレイは言った。
後ろにいる人は_____ジュリだった。
「えっ?ジュリ?」
「そんなことない。お願い、信じて。この子がデタラメ言ってるの。ね、ランカ、ユウナ?」
レイは立ち上がると、にやりと笑った。
「ズルっ子さん。相応の罪だってことを、思い知らせてやるわ」
網状のカゴが、ジュリを包む。
「やめっ___きゃあああっ!?」
---
その後、ジュリはいなかった扱いになっていた。ジュリとの記憶があるのは、ユウナとわたしだけ。
ミヅキとケイコも、毒草の和え物をもらったらしい。毒草、というか、道端に生えている草の和え物。でも、なかったみたいに、ミヅキとケイコは絶好調だ。
レイも、遊歩公園にはいない。