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第三話 依頼①
優里たちに依頼が届いたのは梅雨明け、七月ごろのことだった。
内容は、来週の東と西の総理の面会の護衛である。
「ふぇ?」
優里は間抜けな声を出して、一歩後ろへ下がった。
(こんな小さな子に、どんなミッションをさせるんだ…)
エメルは、ルビーのような目を細めた。
混乱しているのか、ジャンプして、「やった給料上がるう!」とか、
「ひゃっほー」とか奇声を上げる優里と、頭がおかしくなったと思うほどでんぐり返しを繰り返すリオ(狸緒)を見てエメルは考えていた。
「おらっ!うるせえ!」
奥から、枕が飛んできた。
そしてリオの顔面に当たり、よろける。
そしてリオが優里にぶつかって、こける。
「あ…」
エメルがポカンとしていると、奥から枕を投げた女・舞が現れた。
「朝からぎゃーぎゃーうるせえんだよ!」
「ヒイイイ」
この組織のこの部の中で一番先輩なのが、彼女である。
年齢は自分より下(確か16ほどだったか…)だが、ちゃんと責任感を持っている。
「あの…舞さん」
「んあ?」
すごい形相で睨みつけられ、エメルは退けた。
「これ、依頼…」
優里たちとは違い、舞さんは文字が読める。
「くっそっ上のやつ何考えてんだ…」
その後に続く言葉にギョッとした。