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行き先
お巡りの死んだ目が少し回復したので、話が進むと思ったが。
「・・・暁ちゃん、お名前以外に分かることってあるかなぁ〜?」
「ない」
「・・・・ほら、年齢とか!大体でも教えてくれると嬉しいなぁ?」
「・・・」
駄目だこりゃ。完全に防御モードになっている。
犬のお巡りもだんだんイラついてきている。もう帰りたい・・・
思えば今日はとんだ災難ばかりだ。急な土砂降り、捨て鼠、誘拐犯疑惑。
早く終わらせよう。もう窓から茜色の空が覗いている。
「暁、俺が早く帰りたいから分かることはなるべく言え。いいな?」
「わかった!」
さあお巡り早く必要な質問を済ませて俺を家に帰すんだ、と視線に圧を乗せる。
「年はいくつ?」
「10さい」
「どこから来たの?」
「分かんない」
「学校は?」
「行ったことない」
「好きな食べ物は?」
「エクレア」
おいなんか最後は関係ないだろ、と思ったら、お巡りが後ろからエクレアを出した。
だからどっから出してんだよ。そしてやはり暁は受け取らない。
「暁、俺エクレアも好き」
「わかった」
暁がお巡りの手からエクレアをさっと取る。また俺に渡してきたので、
暁の口に突っ込んだ。流石に俺が目の前で食うのはどうかと思うしな。
無言でもぐもぐしてる。可愛い。めっちゃ美味しそうに食べるじゃん。
「じゃあ、暁ちゃんは今日はこちらで保護するということで・・・」
「やだ!!」
お巡りへの抵抗がすごい。そしてお巡りの顔もすごい。声は穏やかなのに、顔。
口が引き攣って全然笑えてないと思う。暁と相性が悪いんだな・・・
とういか、暁は保護されないでどうするつもりなんだ?
「でもでも、暁ちゃんのお家探すの、時間かかるよ〜?」
「お兄さんのお家行くもん!!」
「!!??!?」
お巡りと俺が固まる。いやそうなるよな!?何故俺の家に来ることになってる。
絶対交番居た方が良いって。
「お兄さんと約束じだの“でずぅ〜・・・」
泣いてる泣いてる泣いてる!!約束はしてないしな!!?
泣き出した暁を前に、男2人はオロオロすることしかできなかった。