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    6.僕のファンクラブ作るって…正気なの?
    
    
        6話目!ファンクラブの回です。
    
    
    目が覚めると、アブくんに背負われていた。歩くときの心地よい振動にまたうとうとし始めていたらふわっといい匂いがした。お花みたいないい匂い~と思っていたらそれはアブくんの匂いだった。
「ノア、どうしたんだ。」
「めっちゃいいにおいがする~。」
僕がばか正直にそう言うとちょっとアブくんの顔が赤くなった。
え?!めっちゃレア!写真に撮りたい!
と興奮した瞬間、完全に目が覚めた。なにこの状況?
「え?ちょっとおろして!」
「だめだ。君は寝起きなんだから。」
いや、もう完全に目が覚めてます。恥ずかしいからおろしてほしい。マジで。
「それに、弟扱いすると言っただろう?」
アブくんが笑いながら言う。そうだったけど、ちょっとずるくない?
教室まで着いた。アブくんはまだ下ろす気は無さそうだった。
背負われてる僕を皆が見ていた。
「なにしてんの?」
声のする方を見ると大好きな幼なじみがいた。
「エイブリー!」
「やっほー、ノア!めっちゃ久し振りだよな?」
「たしかに。もう二年ぐらい会ってないかも。」
「ヤバいな!また一緒に遊ぼうぜ。というかそんなことより…どうしたんだ?それ。」
まだ背負われていることを思い出して、アブくんおろしてーと肩をトントン叩いた。一向に下ろす気配がない。
「僕が朝うとうとしてたらいつの間にか。」
「へー。まあ立ち話もあれだし座ろうぜ。」
エイブリーが親指で差した所には4つの空席があった。
窓側を一つ開けて僕、エイブリー、アブくんの順で座る。まだ授業には15分程時間があった。
「というかお前知ってるか?お前のファンクラブが出来るんだって。」
「はあ?冗談やめてよ~。」
僕があり得ないと言う顔を作るとエイブリーが本当だよと言った。
「いやいや。僕まだ入学して二日目なんだけど…。」
「今日の朝の騒動とかがあったしあり得る話だろ。」
トムの噛み跡ね。と目線で訴えるとちょうどよくトムが教室に入ってきた。
「トム!こっち。」
そう声をかけて、窓側の空席を指で差す。分かったという顔をしてトムが近づいた。
「トム。こんなギリギリまで何してたの?」
「図書室にいた。」
ふーん、優等生じゃんと思ったのを察したのかトムがちょっと得意げにした。
「ああ、ノアが引き取った子か。」
エイブリーがようやく合点がいったという顔をしていた。
「そう。五年前だけどね。」
「トム・リドルと言います。」
またよそ行きの顔。そんなに猫被っておきたいものなの?
「俺エイブリー。敬語いらねえよ。」
「いえ、初対面なので…。」
トムは誰に対してもタメ口になることを頑なに拒否している。タメ口の方が絶対楽なのに。
「何話してたんだ?」
「こいつのファンクラブが出来るらしいってこと。」
「さすがに冗談だと思ってたら、これが本当らしい。」
意味が分からないと呟くと、トムまであり得る話だろうと言ってきた。
「顔だけは良いからな。」
顔だけはというところを強調してトムが言う。
「顔だけはってどう言うこと?中身もって言ってよね。」
「今回のこともあるしな。」
とニヤニヤしながらエイブリーが僕に言った。
「本当にこいつが全部悪いから。こいつに全部聞け。」
「何でもありませんよ。」
朝と同じ返答にエイブリーが笑った。もうどうとでも考えるがいいさ。
チャイムがなって先生が入ってきた。一時間目が始まる。
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寮生side
結局寝てしまったフォークナーはマルフォイに背負われて教室に入ってきた。
教室に入る前、マルフォイをフォークナーが嗅いで“いい匂い~”って言ってたのが聞こえた。うそ!そこもあるのか。
教室に入ってきた二人に、俺の前の列にいたエイブリーがなにしてんのと声をかけていた。
「エイブリー!」
フォークナーが嬉しそうな声をあげる。
「やっほー、ノア!めっちゃ久し振りだよな?」
「たしかに。もう二年ぐらい会ってないかも。」
「ヤバいな!また一緒に遊ぼうぜ。というかそんなことより…どうしたんだ?それ。」
「アブくんおろしてー。」
肩をトントン叩くフォークナー。かわいいね。
「僕が朝うとうとしてたらいつの間にか。」
「へー。まあ立ち話もあれだし座ろうぜ。」
いつの間にか持ってかれるで良いのか?本当に。同じ部屋の奴がかわいい。といいかけていた。さすがに言ったら怒られる気がする。
「というかお前知ってるか?お前のファンクラブが出来るんだって。」
「はあ?冗談やめてよ~。そもそも僕、まだ入学して二日目なんだけど…。」
「今日の朝の騒動とかがあったしあり得る話だろ。」
その会話を聞き、俺らは同時にヤバい、と思った。ばれたら終わると。さすがに認めてもらえるわけが無いと考えていた。卒業までフォークナーには隠し通さなければいけない。
俺らの思いがまた一つになったとき、教室にリドルが入ってきた。
朝と同じやり取りをする彼らに、俺はニヤニヤが止まらないままだった。