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魔法試練:第六戦 闇の試練
闘技場に、静寂が訪れた。 光の試練が終わった直後、空間が沈み込むように暗転する。 まるで太陽が消えたかのように、光が吸い込まれていく。
そして、闇の国・ノクティスの魔導将——ヴァルゼンが現れた。 漆黒のローブに身を包み、瞳は深淵のように冷たい。 彼の周囲には、形のない影が蠢いていた。
「闇は、恐怖であり、忘却であり、支配の根源」
ヴァルゼンの声は、耳ではなく心に直接響く。
「お前の“無”が、闇を拒絶できるか……それを見せてもらおう」
リュカは、灰色の魔力を纏いながら、静かに構える。 だが、次の瞬間——彼の視界が、消えた。
「……っ!」
闇が、彼の五感を奪う。 音が消え、光が消え、空間が消える。 リュカは、何も“感じられない”世界に閉じ込められた。
「これは、闇の牢獄。お前の“拒絶”が、何もない空間で通じるか?」
ヴァルゼンの声だけが響く。 リュカは、灰色の魔力を集中させる。 だが、闇には“形”がない。 拒絶するには、対象が必要だ。
「……俺の魔法は、壊す力。だが、闇は“無”に近い。ならば、どうすれば……」
そのとき、リュカの記憶が揺らいだ。 村の人々の声。
「お前は空っぽだ」
「何も持っていない」
「存在しない方がいい」
闇は、彼の心を蝕む。 “無”であることの孤独。 “拒絶”する力の代償。
「……俺は、本当に空っぽなのか?」
だが、微かな光が差した。 セラの声が、記憶の奥から響く。
「あなたは、空っぽじゃない。あなたの“無”は、誰かを守るためにある」
その言葉が、リュカの魔力を再び安定させる。 灰色の魔力が、闇の中に広がる。
「俺は、闇を拒絶するんじゃない。闇に“意味”を与える」
灰色の魔力が、闇の牢獄を裂く。 五感が戻り、空間が再構築される。
ヴァルゼンは、目を細めて言った。
「お前の“無”は、闇すら包み込むか……ならば、次は“世界”そのものを試す」
リュカは、静かに答える。
「俺は、魔法に支配された世界を終わらせる。そのためなら、すべてを拒絶する」
──七つの試練は終わった。 だが、試練の先に待つのは——世界の“選択”だった。
はい。魔法試練は多分全て終了いたしました。
続きを〜待て!
明日だからね