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私は東京の秘密を知っている 五話
日曜日の夕方、表は商店街の中心に立っていた。
光の筋はまだ空を走っているが、街全体の色や音はほとんど戻っていた。
建物も看板も道も、昨日より鮮やかに蘇っている。
——やっと……街が戻りかけている……
表はノートを取り出し、光の筋の軌跡や街の変化を最後まで書き込む。
【商店街中央。色・音ほぼ回復】
【公園奥。砂場とブランコ。回復済み】
【古いアパート裏路地。完全回復】
影の子が手を伸ばし、最後に残ったかすれた部分を補助する。
表は全て自分の力だと思っているが、沙月は裏から最後の調整をしていた。
——光の筋……ただ街を消すだけじゃない。
——街の規則的な色と音の流れを乱している……
そのとき、片原 京先生がゆっくりと歩いて表の前に現れた。
先生の瞳には、何かを伝えたいような光があった。
「表……街が戻ったけれど、まだ全てが安全ではないわ」
先生の声は静かだが、力強さを感じる。
——先生も、街と両親の秘密を知っている……
表は深く頷き、街を見渡す。
——街は戻った……でも、この光の筋や消失の原因を、もっと知る必要がある……
夕陽が街を黄金色に染め、風が通り、時計台の音も響く。
沙月は影から表を見守り、今日も裏で安全を確保していた。
表はノートを閉じ、明日からの新しい作戦を考える。
——街を守る戦いは、まだ続く。
——でも、少しずつ、光の筋の正体に迫れるはずだ。
月曜日の朝、表は寮の窓から街を見下ろしていた。
光の筋はまだ空に走っているが、街全体の色と音はほぼ戻っている。
しかし、表には違和感があった。
——あの光の筋……ただの現象じゃない。
——何か、誰かが操作している……?
そのとき、片原先生が表の部屋のドアをノックした。
「表、少し話があるの」
先生の声には、いつもより強い真剣さがあった。
廊下で二人きりになり、先生は静かに語り始めた。
「表……あなたの両親が亡くなったとき、街の異変と関係があったの」
表は息を呑む。
「光の筋……あれは街を消す力ではなく、街の記憶を整えるために動いているの。あなたの両親も、その研究に関わっていたのよ」
——両親……街の力と関わっていた……?
表の頭の中で、今までの出来事がつながる。
光の筋の規則、消える場所、影の子の動き……
すべて、両親の研究の影響が残っていたのかもしれない。
先生は少し微笑みながら続ける。
「だから、あなたが街を守れるのは、両親の力が少しあなたに残っているからよ」
表はノートを握りしめ、深く息を吸った。
——私……街を守る力を、両親から受け継いでいる……
その瞬間、沙月が影から表を見守り、微かに手を動かす。
——今日も裏で、表の行動を支えている……
表は窓の外に目をやる。光の筋はまだ動いているが、もう恐怖ではなく、解き明かすべき謎に見えた。
——両親の研究……街の力……
——私は、この街を守りながら、その秘密を解き明かす。
街の色と音が完全に戻るわけではないが、表の覚悟は固まった。
——長期の核心に、ようやく一歩近づいたのだ。
火曜日の午後、表はノートを胸に抱え、街を見渡していた。
光の筋はまだ揺れ動くが、街全体の色と音はほぼ戻っている。
——でも、まだ完全には安定していない……
片原先生が表の元にやってきた。
「表……そろそろ、両親の研究のことを本格的に知る時ね」
先生の声は静かだが、覚悟を促すような力強さがあった。
表は深呼吸し、うなずく。
——両親の研究……街の光の筋……
——私が解き明かす……
先生は表を街の古い研究施設へ案内した。
——両親が最後に残した、街の異変に関わる研究の痕跡が眠る場所。
施設の中には、色あせた書類、機械、光を制御する装置の模型が並んでいた。
表は一つずつ確認しながらノートに書き込み、光の筋の動きと照らし合わせる。
——光の筋は、街の記憶を守るためのシステム……
——でも、何かが狂ったから、街が部分的に消えかけた……
影の子が近くで色や音を微かに戻す。
沙月は影から、表が危険な装置や場所に近づかないようコッソリ誘導していた。
表は決意を固める。
——私は、この街を守りながら、両親の研究を完成させる……
——光の筋を理解し、街を完全に安定させるんだ。
施設の窓から見える街は、まだ光の筋に揺れているが、表の視線は確かだ。
——長期編の核心に、ようやく挑む準備が整った。
夜、寮に戻ると、沙月が微かに影から表を見守る。
——表はまだ知らないけれど、今日から本格的に街の秘密に挑むのだ。
表はノートを閉じ、次の一歩に胸を躍らせた。
——街の光も色も、私が守る。
——両親の想いも、一緒に。
水曜日の朝、表は街の中心に立っていた。
光の筋は空を網の目のように走り、街全体の色や音を再び奪おうとしている。
今までの戦いとは違う。今回は、街全体の異変に直接挑む時だ。
——私が……街を守る。両親の想いも一緒に。
表はノートを握りしめ、光の筋の軌跡と街の消失パターンを頭の中で整理する。
影の子が近くで色と音を補助し、沙月は裏から表の行動を微調整して安全を確保。
まず、光の筋が最も集中している商店街中央の交差点に向かう。
建物も看板も、色と音が半透明になり、街全体が揺れている。
——ここを守れば、街全体が安定する……
表は深く息を吸い、一歩ずつ歩きながらノートに書き込む。
光の筋が空で交差し、街の色を奪う速度が速まる。
影の子が手を伸ばし、かすれた色を少しずつ戻す。
表は全力で街を守ろうとするが、光の筋は強く、街の一部はまだ揺れている。
——でも、諦めない……
沙月は影から、必要なときだけ表を微妙に誘導し、危険地帯に入らないよう支える。
表は光の筋の流れを理解し、優先順位をつけて色と音を回復していく。
夕陽が街を赤く染め、風が通り、時計台の針の音が街全体に響く。
街の色が徐々に戻り、消えかけていた人々の声もわずかに戻った。
——やった……街が戻り始めた……!
表はノートを閉じ、深く息をつく。
——でも、まだ終わりじゃない。
——光の筋の正体も、両親の研究も、もっと深く理解しなきゃ……
夜、沙月は影から表を見守り、微かに手を動かす。
——今日も、街は少しずつ守られた。
表は窓の外の光を見つめ、胸を高鳴らせた。
——長期のクライマックスは、これからだ。