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    5.この変態が。
    
    
        5話目!書くの楽しいです!
今回ちょっと腐かもしれません。
ホグワーツの生活は結構想像です。こんなんだったらいいなというやつを書いています。
    
    
    ご飯の時間が終わって、監督生が寮へ案内してくれることになった。寮での生活についてとか設備について解説してくれている中、僕は説明を一つも聞かず動く階段に夢中だった。
だってヤバいじゃん!動くんだよ、ほんとに!
僕が階段をまじまじと見つめていると背中をバシッと叩かれた。
「いった…!」
「何やってるんだ。いくぞ。」
あ…。僕がまたトムをほっといてしまったせいでトムの機嫌は最高に悪かった。話しかけたら殺されるんじゃないかと思うほどだ。すみません。トム様許して下さい。
「部屋分けを行う!まず、101号室…」
名前がなかなか呼ばれない。睡魔と戦うのももう限界。大きなあくびをして待っていると、僕の名前は最後に呼ばれた。
「ノア・フォークナーとトム・リドルは二人部屋だ。今年は二人足りないからな。」
なんだ、トムか~。色々考えなくていいのは楽だけどここでも一緒なんだね。
「部屋割りが終わったから解散だ。鍵は部屋の中に人数分ある。その他分からないことがあれば先輩に聞くように!」
「ノア、行くぞ。」
そう言われ、腕を捕まれた。痛い痛い!怒ってるのは分かるからもう少し優しくして!
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「へー。こんな感じなんだ。」
と部屋を見渡した。四人用だからか、二人で使うにはちょっと広い。とりあえずベッドどれにしようか決めよう、と思っているとカチャンと金属のぶつかる音が聞こえた。ああ、鍵かけたんだね。わかる。防犯は大事。
僕が本棚を見てみようと歩くと、トムがずんずん近づいてきた。なんか圧があって怖い。ついに壁まで追い詰められた。
鼻先が当たりそうなぐらい近い。僕はトムの顔が大好きだからちょっと頬が赤くなってしまう。たぶん耳も赤い。
「なに…?」
頑張ってそう聞くとトムが答えた。
「なぜ僕のことを気にしない?」
「え?」
「小さい頃からずっと一緒だったのに。お前は僕のものなのに。何故僕が我慢しなければいけないんだ。」
頭のなかが?でいっぱいだ。
「トム、君ってそんなに束縛強いタイプだったっけ?」
「うるさい。黙れ。とにかくお前には僕しかいないと言え。」
「今じゃなきゃだめ?」
「今、この場で。」
「…僕にはトムしかいない。」
「心がこもっていない。」
めんどくさいな。こいつ。ちょっとかわいいけど。
「ほんとに思ってるよ。心のそこから。僕が君に嘘ついたことは…あるかもしれないけどこれは嘘じゃない。本当に。…僕にはトムしかいない、これでいい?」
トムは僕のことを少し見つめ、僕のほくろがある首を見たあと
-噛んだ。それは思いっきり。シャツが血で滲むほど。
「いった!!!」
僕の叫びは周りに聞こえていたらしい。大丈夫か?と近くの部屋の子が様子を見に来てくれた。でも残念ながら、鍵はしまっていた。
今ほど鍵を開けてほしいと思ったことはない。
「大丈夫だ。ノアが転んだだけだ。」
くっそこいつ!!
僕がトムを睨むとトムは今日一番の笑顔を見せた。この変態め。
はあ…疲れた。風呂に入る気力すらない。僕はローブを脱ぎ捨て、ネクタイとボタンを緩めてベッドにダイブした。トムは満足したのか隣のベッドに座った。
「なにしてんの?」
「見ているだけだ。問題ない、寝ろ。」
僕の意識はそこで途切れた。
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「起きろ、ノア。」
うーんと寝返りを打ってあと五分…と言うところで違和感に気付いた。アブくんの声。それになんか、人多くね?
あくびをして起き上がると周りには何故か人が沢山いた。ベッドの周りはアブくんとブラック兄妹がいた。なんでトムがいないんだ。それにここ、男子寮だよ。というか、入口から人が除いてる。なに?なんで僕の目覚めをこんな見守ってんの?
…なんで僕制服なんだろう。というか首かジンジンする。ぺたっと触ってみるとカリカリしたものがあたった。かさぶただ。そこで全てを思い出した。
トム、覚えてろよ。
とりあえず着替えなきゃ。シャツにシワがよって、ボタンとネクタイが緩まっているせいで胸元が少し見える。ちょっと恥ずかしくない?
「着替えるから出ていって!」
そう伝えると我に帰った女子生徒が顔を赤らめて走り出た。
「アブくんもだよ。」
「ネクタイは出来るようになったのかい?」
「…座って待ってて。」
そう言ってぐちゃっとしたベッドを指差すと分かったと言って素直に座った。
ああ、風呂も入らなきゃ。
脱衣場に入って適当にぽいぽいと洗濯カゴに投げ入れ、シャワーを浴びた。
制服を着替えて大広間に行くとトムが手招きしてこっちだと言った。僕はトムのことを思いっきり睨んでアブくんと隣同士で座った。
「随分と遅いお目覚めだな。」
ニヤニヤしながらトムが言う。
「トムのせいだろ。」
「イライラして、どうしたんだ?」
分かっているくせに聞くんじゃねー!
「低血圧。」
ぶっきらぼうに答えて近くにいた先輩から手渡されたプレートを食べ進めた。先輩、ありがとう。
食べ進めているとトムが僕に言った。
「これ苦手だろう。ここに置け。」
う~ん優しい。ちょっと許しそう。僕チョロいか。
「ありがとー。」
と言ってキノコを皿にひょいっと乗せた。
「そう言えば、なんで朝はあんなに人が居たの?」
ずっと気になってたことを聞いてみた。
「昨日、ノアが悲鳴をあげていただろう?心配でみんな集まったんだ。」
「ごめんね。」
「いや、大丈夫だ。謝るなよ。」
「そっか。…ってかなんで悲鳴あげたか聞かないの?」
「なんとなく聞いちゃいけないかなと思ってね。」
アブくんが苦笑した。ああ、首のね。
「トムに聞いて。全部こいつのせいだから。」
親指でトムの腕をつつくとトムはよそ行きの笑顔で
「何もありませんよ。」
と言った。こいつ絶対泣かす。
いつの間にか他の寮の人たちも僕らのことを見ていた。僕はもう食べ終わっていたのでうとうとし始めていた。僕の意識はまた途切れた。
    
        次はモブ寮生視点でこの騒動をお送りする予定です。