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異変解決! 〜異次元消息異変〜 肆
一体何があったのだろうか…
紅がいなくなったことと、みつの戦闘異変には、関係がなさそうだ。それに、李子は「とんでもない魔力の持ち主」と言っている。わたし・茨木夜叉鬼姫は、聞き込みを行っていた。今、みんなが分かれて捜索を進めている。
パッと思ったのは、ミウェイとかの魔法使い。でも、そんなことはしなさそうだし…
でも、なんとなく、ここには気配がする。ヒントをもらいたいけど、いない。
「こんにちは…」
「わ!?」
どろろろ、という感じに、幽霊が出てきた。わたしですら見慣れない霊。
「皆さん、お困りのようですね…。わたしは日名川みどり…。日名川家の幽霊です…」
日名川家、とはこの世界でいちばん大きな家族のことだ。人間の日名川普、エルフの日名川ルリィ、幽霊の日名川みどり、神の日名川一音、アマビエ(幻想獣)の日名川幸で構成されている家族である。
「みどり、さん?この異変について、何か知らない?」
「知りませんが…わたしの家族はやっていません…わたしの家族と関わりの深い人も…違います…。わかるのは…これくらいです…。頑張ってください…」
彼女はまた、能力を使って存在を消した。
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「こんにちは」
見るからに若そうな魔法使い、というのが儂の第一印象だった。
淡い紫の髪を、ふんわりと結っている。少なくとも、大妖怪で年老ている儂には無理だと思う。
「お主は…」
「アバター・ドッペルです。どこの落ちこぼれビーム使いじゃなく、わたしは試験に合格してちゃあんとした、正魔法使いです。これでも、分身を作って操ることができるんですよ」
「ふぅん…」
この丁寧な言葉使いは嫌いじゃないが、ちょっと合わない気がする。
「何か異変を知らぬか」
「いいえ、知りません。よければ、分身を作って手伝いましょうか?お金、頂きますけど」
「いや、いらぬ」
最近の若者はお金にがめつい気がする。少なくとも、儂はそう思う。
「じゃあ、こっちは捜索を続けるのじゃ。さようなら」
「そうですか」
去る時に、ドッペルの声が聞こえた。
「チッ、お金を搾り取れると思ったのに」
やっぱり、最近の若者はお金ばかりだ。