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いつか。
50年前、この地域で発生した異常警報。
50年後にまた観測されるかなになるなんて、
研究者も、誰も想像はしていなかった。
世界に数カ所存在する特異地域。
ここはそのうちの一つの地域。
特異地域では世界で定められている規則として、
特別個体の人間が配属される。
世界を救う気のある数千万、或いは数億の中の数人。
自分にその条件が当てはまっているなんて知らなかった。
『特異個体出現、特異個体出現。』
『イレギュラーは直ちに目撃地点に向かうように』
司令塔から命令がくる。
モニターに映し出された地点へと急ぐ。
走ってたどり着いた場所には、空を飛んでいる鯨と人間のようなハイブリット型の物がいた。
私が攻撃を下そうとリングを腕にかけたら高い音で鳴いた。
途端に半径数キロメートルが水槽、大きな金魚鉢のようなものに沈んだ。
いや、囲まれたのかもしれない。水に囲まれているはずなのに、何も感じないし息もできる。
辺りにいた住民はもちろんパニックになり、ここにいるイレギュラーは私しかいない。
救助要請を送るも、すぐに来れる表示になっている人はいなかった。
持っているメガホンでとにかく叫ぶ。
「早く、ここから逃げてください!!」
「隣の区まで走ってください!!」
「間に合わない方は頑丈な建物に隠れていてください!!」
街にいる人を逃している隙に私は結界を張る。
結界を周りに貼られた特別個体はすぐに弱り、力を失っていく気がした。
耳を貫く甲高い鳴き声が聞こえた。
ハイブリット型の敵が分裂し、人型のロボットのようなものに変わったのだ。
私はこれをここから逃してはいけない。
私は選ばれたイレギュラー、こいつを相手にできるくらいには能力を持っている。
今度こそ、とリングを腕に通す。
与えられた能力は「闇」、そして支給された武器が剣。
闇の渦が相手の周りを囲み、結界と合わせて使うことで力を最大限まで弱めることができる。
その間に剣で串刺しだ。
これだといける、はず。
私は剣を握り、相手の力が弱まるまでカウンドダウンを始めた。
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数時間経っただろうか。
相手は回復を繰り返すばかりで、全く攻撃が効かない。
私1人で耐えられるわけではなく、力つきそうだ。
「待たせてごめんね。」
やっと助けが来た。
結花が来た。
彼女もイレギュラー、私とは違うタイプの。
特殊能力のランクは低いが、敵によっては莫大な効果がある。
今回は人型の特別個体なので、結花の得意分野だ。
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私が助けに来た頃にはもう琉那はボロボロで今にも倒れそうだった。
私が頑張らないと、多分何も解決しない。
私はポケットの中にある手帳を取り出した。
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眠りから覚めたらもう敵は倒れていて、隣に座ってスマホをいじる結花がいた。
「倒したの?」
「うん、呆気なく死んじゃった。」
つまらなさそうに言う結花はやっぱりこの国一のヒーローだな。
なんだこれ