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6-1(c)「見極め時」
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時系列的には↑のちょっと前ぐらい?
ユイハside
俺がワンダーランドに戻るのと同時ぐらいだろうか。
アリスがレイラに刺されているのを、鏡が映していた。
同時にエリアを移動し始めた与謝野を、俺は追いかけた。
向かっているのは、ルイスが基本的にワンダーランドへ送る時に辿り着く“空白のエリア”。
与謝野「っ、アリスさん!」
俺達の予想通り、アリスは“空白のエリア”へ運ばれていた。
何か呟いているようだが、今はどうだっていい。
ユイハ「待て、与謝野……っ」
与謝野「離しな! 妾だって、ルイスさんみたいに誰も死なせたくない!」
その姿は、いつか見た少女と重なって見えた。
これは誰の記憶だ。
でも、そんなことを考えている暇はない。
ユイハ「死なせたくないなら! 尚更俺の話を聞け!」
グッと与謝野の腕を掴む力が強まる。
ユイハ「アリスなら大丈夫だ。気を失っているとしても、“偽りの身体”で怪我を負ったから死ぬことはない」
与謝野「でも……!」
ユイハ「“虚像”は傷付かない。そう彼奴は云っていた。それはマフィアのとこ嬢みたいに自己回復能力があるからだ」
与謝野「……そ、れは、」
ユイハ「医者なら分かるだろ! 過度な外部からの治療は回復能力を低下させるだけで、お前自身だって何も影響がないわけじゃない!」
異能の使用は、個人差があるが疲労に出る場合が多い。
ここでアリスを治療して、他の重傷者を治せなかったらどうなるのか。
此奴は、それが解らないほど莫迦じゃない筈だ。
ユイハ「……誰も死なせたくないなら、何処でその力を使うかちゃんと見極めることだな」
俺はアリスを背負い、怪我人が休むエリアとは別の場所へ向かった。
此処はいつも俺が世話になってるエリアで、きっと人目を気にせずに休めるだろう。
ユイハ「言い過ぎたか……? クソッ…例の件といい、俺は本来サポート役なんだよ……っ」
独り言を呟いても、何も変わらない。
ただ、自分が次にやるべきことは分かっていた。