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10.決断
迷いに迷った末、最終的に一つの決断を下した。
『ペルソナ』はどれも魅力的だ。
どれか一つを選ぶなんて、今の自分にはできなかった。
どれを選んでも、きっと残りのゲームへの未練が残ってしまう。
「わ、私は…!全部まとめて、手に入れるんです…!」
一度は手に取ろうとした『ペルソナ』の棚を去り、別のゲームへ。
それは、3DSのソフト『ぷよぷよクロニクル』だった。
なぜ『ぷよぷよ』なのか。
それは、寮に持ち込んだ古い3DSでも遊べる、手軽なゲームだからだ。
このゲームで楽しんで、アルバイトでお金を貯めて、
最終的に『ペルソナ』を全部買ってしまおう、と計画を立てていた。
「えへへ…!ちょっとした…暇つぶしにはなりますから…!」
高性能なゲーム機本体と、少し古めの、携帯ゲーム機のソフト。
あまりにもアンバランスな組み合わせだった。
まるで、高価なスーツに、色あせたTシャツを合わせているかのよう。
しかし、罪木にとってはこの組み合わせこそが、今の彼女の心を表していた。
『ペルソナ』という、夢と希望に満ちた目標を胸に抱きながら、
手近な『ぷよぷよ』で心を落ち着かせる。
いつか必ず、全てを手に入れてみせる。
その確固たる決意が、彼女を前に進ませていた。
罪木は寮へと戻る。
部屋に戻ると、早速3DSの電源を入れ、『ぷよぷよ』を始めた。
連鎖を組む度に、ポップな効果音が鳴り響く。
シンプルだけれど、奥深いゲーム性。
そして、いつか手に入れるであろう『ペルソナ』の世界を夢見ていた。