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2026 3/21
日常のどの瞬間を切り取っても幸せって感じられるように。
あなたもこの小説と一緒に、何気ない幸せを見つけませんか?
いつも通り、朝起きて、カーテンを開ける。
カーテンを開ける時に響くシャッという音が、いい感じに寝ぼけた頭を覚まし始める。
まだ少し眠気が残っている足取りで、寝室から洗面所へ向かった。
冷たい水で顔を洗うと、一気に目が覚めた。
ふわふわのタオルで顔を拭くと、気持ちが良くて、また少し目を瞑る。
そして、目を瞑っている間に、「今日も一日いい日になぁれ」と心の中で言う。
言い終わったら、目を開けて、鏡を見る。
それだけで、「あぁ、絶対今日もいい日になるな」って感じられる。
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次にキッチンへ向かった。
この時は既に、寝起きのふらふらした足取りではなくなっている。
3月後半といっても、まだ朝は肌寒い。
だから、とりあえずお湯を沸かす。
ブォ〜〜という音がキッチン全体に鳴り響く。続いて小鳥の囀りも聞こえてきた。
ぶくぶくとお湯が沸くまで、鳥の声をききながら、とにかくじっと待つ。
この時間が、結構好き。
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お湯が沸けば、IHの電源を切り、ピーっという音が聞こえてからお湯の入ったポットを手に取りコップにお湯を注ぐ。愛用品の紫色のコップに注ぐと、白湯でもとても美味しく思える。
体がポカポカと温まったら、お次はパンを焼こう。パン派かごはん派かって聞かれたら正直「どっちも派」なんだけど、今日は無性に|クロワッサン《パン》が食べたかった。
クロワッサンを冷凍庫から取り出して2個アルミホイルに並べたらトースターを開ける。
トースターの「あそこ」をジジジっと巻いて、チーン!となるまで、また待つ。
待つ間に、読みかけだった雑誌を取ってきて、キッチン用の椅子にもたれかかりまだ少し残っていた白湯を飲み干す。コップをシンクに置く。
雑誌をパラパラと捲る音と、クロワッサンが静かに焼けていく音が重なって心地いい。
雑誌では美味しいクロワッサンの食べ方が特集されており、「生クリームをかけてメープルシロップ贅沢にたらり」というどう考えても美味しい食べ方が載っていた。
冷蔵庫を見ると使いかけの生クリームと新品のメープルシロップがある。
「食べ方はこれに決定ね」
そう呟いた瞬間、チーン!とキッチンに音が響く。
トースターの方に急いで駆け寄るとクロワッサンはこんがりといい色に仕上がっていた。
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お皿とナイフとフォークを並べて、生クリームとシロップを取り出して、ダイニングチェアに座る。
「いただきます!」
元気よく挨拶してから、まずクロワッサンに生クリームをかける。
生クリームは随分前に泡立てたからかかなり液体状になってはいたが見栄えはいい。
シロップもスプっと一瞬空気が抜ける音がしたが次の瞬間にはかけすぎなくらいかかっていた。
ナイフがあたってお皿がカンッという音を立てる。
フォークもお皿にあたり、一瞬キィと耳に優しくない音を立てるが、近くで鳴いたカァというカラスの声にかき消される。
クロワッサンを口に運ぶと柔らかい味と口溶けが舞い込んだ。
私は休日の朝に、ゆっくり素朴な味を楽しむ幸せを、噛み締めた。