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𝓮𝓹𝓲𝓼𝓸𝓭𝓮 𝓸𝓷𝓮 #コンパスの魔族ギルド
『ようこそ。#コンパスへ。』
機械的な案内人の声が、|入り口《エントランス》に響く。
近未来···いや、"超"未来的なこの空間で、今日もバトルが繰り広げられていた。
此処は、戦闘摂理を解析する「#コンパス」と呼ばれた場所。
3人のプレイヤーで構成された2チームが、3分間で5つの|鍵《キー》を奪い合い、そこから得られたデータを管理人が解析してゆく。
つまり、自分の戦闘力を計測する事が出来るのだ。
|1人《ソロ》でランダムに構成されるプレイヤーと共に戦う人もいれば、「|組織《ギルド》」を作り、その仲間と共に戦う人もいた。
時は40世紀の事だ。
多種多様な種族のギルドもあれば、1つの種族だけで作られたギルドもあった。
そんな、大量に存在するギルドの中に、一際目立ち、噂されたものがあった。
これは、その「魔軍」と呼ばれた、魔族ギルドの|物語《ストーリー》である。
―奏者視点―
『残り1分です。』
付けられたイヤホンから、そんな音声が聞こえた。
周りを見回しながら、現状を確認する。
1―4···
どう見ても、大差をつけられて負けている。
最低でも、あと2つの|鍵《キー》を奪わなければ。
出来るか、1分で。
|永遠《エンダー》「ツノくん!!後ろ!!」
仲間の|永遠《エンダー》に言われ、はっと我に返る。
慌てて後方を見ると、今回大差をつけられた要因である、Sランク級プレイヤーが2人、迫って来ていた。
マズイ。
今ここで倒されて初期地点に戻ってしまえば、唯一残ったキーが奪われてしまう。
そうなれば、残り時間は関係無く私達の負けだ。
ここは無理矢理でも戦うしか···!!
奏者「いくよ!!」
私は素早くデッキから「遠」と書かれたカードを取り出し、その力で1人を遠くへと吹き飛ばした。
「うわぁ!?」
そいつを倒すのは|永遠《エンダー》に任せるとして···あとは1人か。
自分の武器である斧(|夢遊《むゆう》って名前)を使って攻撃するが、相手の方が格上だ。
ヤバい···負ける···
絶体絶命の大ピンチ。
その時···
ガガガガ···
歪な銃声が鳴り響き···
「ギャアッ!?」
『敵を倒しました。』
私と戦っていた相手が、呆気なく倒されてしまった。
???「ギリギリセーフ!!なんとか間に合ったぜ!!」
奏者「てふてふ!!」
もう1人の仲間、てふてふだ。
彼女の武器、ガトリングを使って後方からサポートしてくれたのだった。
気が付くと、残り30秒を切っている。
今は2―3。
|永遠《エンダー》が1つ、奪ってくれたのだろう。
頑張れば勝てる···!!
私は2人に向かって言った。
奏者「てふてふ |永遠《エンダー》 後方で サポート お願い!! もう1つの キーは 私が 取る!!」
てふてふ「りょーかいっ♪」
私は走り出した。
最後は···
あった。
此処だ!!
キーに手をかざし、範囲を縮めていく。
背後では、2人が全力で守備をしていた。
『残り10秒です。』
間に合えっ···!!
そして、試合終了とほぼ同時に···
『キーを獲得しました。』
|永遠《エンダー》「やった···!!勝った···!!」
結果は3―2。
なんとかギリギリのところで勝つ事が出来たのだった。
てふてふ「いやー、大接戦だったね~。キー4つ取られた時、終わったと思ったもん。」
|永遠《エンダー》「それもこれも、ツノくんのおかげだよ。」
奏者「いや みんな 頑張って くれたから!!」
あの大接戦の試合後、私達は反省会的な事をしていた。
するとそこへ···
???「君達···だよね?さっき僕とバトルしたの···」
|永遠《エンダー》「あ、さっきの人。」
さっき一緒に戦った相手が近づいてきた。
試合中は集中していてあまり気付かなかったが、今こうしてじっくり見てみると、なんか、カラフルで、カッコいい。
透き通ったコバルトブルーの瞳は、まるでサファイアの様に美しく輝いていた。
クロウ「あ、申し遅れた。僕はクロウ。烏と人のハーフさ。」
なるほど。
言われてみればそうかもしれない。
でも、クロウさんは何で話し掛けて来たんだ?
クロウ「間違ってたら謝る。君達···もしかして"魔軍"かい?」
―魔軍。
それは、私が作った、私、てふてふ、|永遠《エンダー》の3人が所属するギルド「魔王軍の残党」の通称だ。
この人、もしかして···?
てふてふ「そう···だけど···?」
クロウ「やっぱり!?戦い方とか、容姿とか見て、そうじゃないかなーって思ってたけど···君達···本物の魔軍なんだね!?どうりで···そりゃ相手が魔軍となれば逆転負けしちゃうか···」
実は、私達のギルド"魔軍"は、この#コンパスの世界でかなり有名になっているのだ。
一部の人は「強者ギルド」と呼んで、一目置いていた。
ランク関係無く、みんなの憧れの存在。
それが、この、私達「魔軍」だった。
クロウ「あの···もし良ければ、一緒に食事でも···?魔軍の皆さんと、ゆっくり話がしたいなって、思ってたんです。」
|永遠《エンダー》「んー···。流石に10連戦して疲れたし···行きたい!!サメくんはどうする?」
てふてふ「僕も勿論行くよ!!」
奏者「私も 行く!! 他の 人とも ゆっくり 話 してみたいし···」
私達が言うと、クロウさんの表情が明るくなった気がした。
よっぽど話したかったんだろうな、この人。
クロウ「いいの!?ありがとう···!!じ、じゃあ、行きましょう!!」
私達4人は、飲食店が立ち並ぶエリアへと歩き出した···。
魔軍のストーリーは1話1話が長いです。
読むの大変ですが、ご了承下さい···💦
クロウの設定後で公開します。
これからどんどんキャラが増える予定。
自主企画も開催しているので、参加してくださると嬉しいです。
次は〈幕間〉です。
続きもお楽しみに。
では。