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幕間~その日、その時、その森で~
今回から新キャラ、参加キャラが登場します。
―?視点―
ある夜の事。
私は何時もの様に、森の中を歩いていた。
すると···
???「ハァ···ハァ···どうすりゃいいんだよ···。」
荒い息遣い、全力で走っている足音が聞こえてきた。
木の陰から見ると、誰かがこっちに向かって来る。
???「急いでるみたいだけど···どうしt」
???「うぎゃァァァァァッ!!で···出たァァァッ!?」
その人···右腕が無い、シャチみたいな人は、いきなり現れた私に酷く驚き、飛び上がった。
···すっごいビビりだなぁ···。
???「ご、ゴメン!!で、どうしたの?」
私が問い掛けると、その人は焦りながら言った。
???「あ、ここら辺に建物とか何か無いか!?」
建物···?
こんな森の中にあったっけ···?
···あ···。
そういえば···。
???「えっと···ここ真っ直ぐ、ずーっと進んで行った所に、建物の明かりみたいなの見たよ!!」
???「あ、ありがとう!!」
その人はお礼を言うとすぐに、私が指差した方向へ走り去っていった。
···なんだか、不思議な人だったなぁ···。
自分の家に戻ろうとすると···。
???「おーい!そこの君〜!」
また声が聞こえた。
振り返ると、そこには2人の女性がいる。
1人は、緑色のショートヘアが特徴の、片方にだけ角が生えた、恐らく魔族であろう女性。
もう1人、手を振って私を呼んでいる少女は···。
角も羽や翼も、尻尾も何も無い、見た事が無い種族だった。
???「えっと···何かしたの?」
私が聞くと、不思議な種族の少女が言った。
???「あの···シャチみたいな見た目の男性見なかった?その人、私の事見た途端叫んで逃げちゃってさ···。」
シャチみたいな人って···。
???「その人もしかして、右腕無い人の事?」
???「そうそう!!···で、どっちに行ったか分かる?」
???「その人だったら、あっちの方向に走って行ったよ!!ついてきて!案内してあげる!」
私が言うと、その人は嬉しそうな顔をした。
そして3人で走り出す。
???「···本当に、感謝致します。」
走っている途中、今まで一言も発していなかった魔族の女性が口を開き、凄く丁寧な敬語口調で言った。
···なんだか、不思議な人達に会う日だな。
???「あ、あれだ!!もうちょっとだよ!頑張って!」
前の方にうっすらと、人家の明かりが見えてきた。
―?視点―〜3年前〜
遠くから、争いの音が聞こえる。
偽物と本物が争う声。
その日、後に〈雷撃の大災害〉と呼ばれる戦が起こった。
ヒーローだけじゃない、我々プレイヤーも一丸となって戦わなければ、殺されてしまう。
俺達は森で息を潜め、奇襲作戦を考えていた。
残った仲間の数を確認する。
俺、ギルドマスターのラー、ホルス、バステト、トト、イシス、テフヌト、そしてネフテュス。
計8人。
···あの10分足らずで2人殺していきやがった···。
ラー「ハトホルとセベクが殺された今、我々は全力で敵を討たなければならない。お前らに、死ぬまで戦う勇気はあるか?」
ギルドマスターの発言に、全員が頷いた。
森の屋敷に敵が入ってくるのも、時間の問題。
皆が、あーでもないこーでもないと、作戦をかんがえていた時。
扉ご開け放たれ、10数体の「#イレギュラー」が入ってきた。
ホルス「···敵襲だッ!!」
彼の声と同時に、死の戦いが幕を開けた。
···ダメだ。数が多過ぎる。
倒しても倒しても、次から次へと現れる。
テフヌト「バグドールのやつ···プレイヤーのにあまで作ってる!!」
テフヌトの言う通りだった。
ヒーローだけでなく、プレイヤーの偽物までいた為、到底勝てる数じゃ無かった。
ラー「ぐぁぁ···ッ···!!」
その時、ギルドマスターのうめき声が響いた。
見ると彼は、数体の#イレギュラーに囲まれ、そのうちの1体に身体を貫かれている。
「ラー様ッ!!」
直ぐ様彼の元に行く。
あちこちから悲鳴が聞こえてきた。
トト「バステト!!ホルス!!テフヌト!!クッソォォォ!!」
トトの叫びにハッと振り返る。
そこには、偽物に殺された大切な仲間達がいた。
俺が絶望した隙を突いて、1人の#イレギュラーが斬りかかってきた。
防ごうとしたが時既に遅し。
強力な一撃を喰らい、視界は一瞬で暗転した。
「この···っ!!」
何も見えない中で、闇雲に武器を振り回す。
―意識が無くなるその直前、最期に聞いた叫び声は、一体、誰の物だったか。
―時は遊羅戯18年、徒桜舞う上弦の月夜の事であった。