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第七出動 ー ばる一族 ー
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ばるばる 「その話、僕たちにも詳しく聞かせてくれないかな?」
「っ…!!」
突如 僕たちの目の前に現れたその謎の生命体を見て、
思わず僕は後ずさる。
睨んでいる者や、こわがっているもの、驚いている者もいる中、
何も悪気が無いかのように、表情を変えず、淡々と言った。
ばるばる 「重要な話なんだろう?」
「僕はそれが気になるんだよ。」
それをきいて、僕はその生物を憎悪の視線で刺す。
一昨日の夜、彼が放った言葉は嘘で繕ろられたものだったのかと、
騙してきたそれに怒りを感じる。
まだ、特に何をした、ということもないから、大きな感情ではないが。
「お茶会に来るのはあきらめたって言ってたのはどうなったんだよ。」
「魔法少女じゃない家には勝手に入らない とかいうのも。」
そう言っても、それは表情一つ変えない。
それどころか、自分はとてもやさしいことをしている、とでも思っていそうな顔をしているではないか。
ばるべぇ 「そんなこと、べぇはいってないべぇ」
ばるばる 「それに、たとえ言ったとしても、その方針が変わった。ただそれだけで片づけられるだろう?」
「約束を守って信頼を得るも、約束を破って非難を受けるも僕たちの自由だしね。」
だからといって、自分達に都合のいい場面で、急に出てくるのは違う。
そう声を挙げようとすると、その前にりづが生命体の方へ刃を突き出す。
りづ 「お前、そんな一見よく聞こえることを並べて、何が目的だ?」
「偽善したって、ここにお前を信じてくれるようなお人よしはとうにいないよ。」
…こんな魔法少女に関わっているような人たちだ。
みなどこか、ひねくれているところがひとつくらいはあるだろうということを
りづは理解していた。
ばるばる 「はぁ、そうやってすぐ決めつけないでもらえるかな?」
「これだから人間は困るよ」
は……?
こいつは何を言っているのだろうか、
ばるばる 「勝手にこういう話を聞いたら君たちが怒り出すから、こうやって丁寧に教えてもらえないか」
「聞いているんじゃないか。」
ばるべぇ 「なんでそんなことで怒ってくるのかべぇらにはわからないべぇが」
「ちゃんとばるばるは真摯に対応していると思うべぇ。」
… シュッ グシャッ
りづがばるべぇのことを剣で切ってつぶしてしまった。
仲間が死んだというのに、ばるばるは気にも留めていなそうだった。
ほんっとうに こいつは…っ!!
みかこ 「あいにくだけど、このことはお茶会に呼んだ人たちにしか話せないものなの。」
「ここにいる誰かに信頼されているようならまだしも、」
「あなたみたいな方には、この重要事項は話せない。」
みかこさんはそう言いきった。
強い目で、でも決して軽蔑や、怒りが含まれているような目ではなかった。
ただ、一世一代の交渉相手といったような、そんな相手と対峙しているかのように思えた。
そういうと、不思議な生き物は残念そうな顔になった。
ばるばる 「そうか、話してくれないのか。」
マナ 「えぇ あなたたちは信用にあたいしません。」
ばるばる 「そうかぁ…」
「”残念”だなぁ」
急にばるばるは目の色を落とし、ハイライトを消した。
声のトーンが暗くなり、一気に聞いているこちら側に、恐怖と緊張感を与えられる。
思わず 息をのむと、ばるばるが口を開いた。
ばるばる 「その内容は、僕たち”ばる族”にとって有益な情報のように感じられるからね。」
「こんな手は使いたくなかったんだが、、、」
「みかこ達がそういうなら仕方ない。」
ばるばる 『**力づくでいかせてもらうよ**』
その言葉を放った瞬間 ばるばるはみかことマナに一瞬で近寄り、手に持っていた資料を奪おうとしてきた。
とっさに、近くにいた、りあーがばるばるをたたいて軌道をそらせたおかげで
マナ達とぶつかることはなかった。
ばるばる 「ちっ」
りづ 「ついに本性を現したか お前!!!!」
そう、りづは攻撃態勢に入る。
それと同時に僕は守りの態勢に入った。
このままだと、この場にいる誰かが傷つけられかねない、そう判断したからだ。
シュッ
すると、ばるばるは静かに消えた。
だが、胸騒ぎがする気がした。
すると、部屋の隅で小さな声が上がった。
ゆり 「マナさん!!さっき持ってた資料、どこいったんすか?!」
それを聞くなり、マナは青ざめる。
マナ 「う そ… 盗られた……??!」
そら 「…あいつ ほんとにやりやがった…」
りあーは不安そうな顔をしている。
その場の重い空気は、しばらく晴れず、沈黙が続いた。
その沈黙を破ったのは、みかこだった。
みかこ 「まぁ 過ぎたものは仕方ないよ。資料も、あれはコピーだったし、、。」
「とりあえず、その重要事項を話すね、いい?」
それに同意しないものなんていなかった。
みな、明るい何かをもとめていたのだろうか。
みかこが明るい声で言ったせいか、少し場が明るくなった気がする。
マナ 「そうだね!!くよくよしててもいいことないし!!!」
「とっとと説明しちゃおう」
それに追い打ちをかけるように、マナが特段明るい声でいったため、
思わず、僕たちは笑ってしまった。
僕たちに向かってきている脅威に、きづかないまま。
みかこ 「じゃあ、最初に言おうとしてた、本題に入るよ、。」
そういえば、重要事項とは何なのだろうか、
みかこ 「それは、この町に降りかかろうとしている災厄について。」
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