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消えたもの
「よし!次は甘いものを食べに行こう!」
時刻は午後三時頃、おやつ時だ。相当混んでいることを覚悟しないといけない。
「結構並ぶと思うけど。…何食べたいんだ?」
スマホで遊園地内のスイーツが食べられる店や広場の一覧を見せながら聞く。
「ん〜、ここのパフェ食べたい!」
「じゃあ行くか。こっちだな。」
そういった瞬間、零は俺の腕をまた引っ張りながら進み始めた。零、真逆だ。元気なのに方向音痴なんだな…。
無事案内マップで目当ての店にたどり着く。想定どうり、すごく混んでいた。待ち時間が40分で済んだのはまだ運が良かったのか、と思うくらい。
零とくだらない話をしていると、あっという間に俺たちの名前が呼ばれた。
「うっまぁ〜!あ、そっちも一口頂戴!」
俺の返事など待たずに零は俺の遊園地のキャラクターがイメージされたチョコレートパフェを食べた。
「こっちもうまぁ〜!あ、お前も一口いる?」
どっちでもいいが俺のを一口取られたままでは癪で大人しく一口もらうことにした。
そしてまたお前呼びになっている。
「ん、うまいな。」
零が頼んだいちごパフェは甘酸っぱくて、トッピングのクッキーと食べるともっと美味しそうだった。流石にクッキーはくれないが。
「だろ〜?」
零は自分が作ったかのような顔で言う。が、待ち時間に零と話していたとはいえ、アトラクションに乗った後に40分も立っていたんだから、疲れている。そのせいか、甘酸っぱさが普段以上にすごく美味しかった。
結局、食べ終わった後もあれこれアトラクションには乗ったが成仏は出来そうになく、遊園地に未練はなかったみたいだ。消えたのは俺の時間と貯金だけだったな…。
今回短いね