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保健室の、センセイ。
なんとなんと5月から貯めてた話です。
早く出せって話ですよね……
「また、やっちゃった……」
私は坂野心。高校3年生。
バレー部という部活のせいなのか、最近凄く怪我が多い。
「すみませ………って、え?」
驚きすぎて、思わず間抜けな声が出てしまう。
立ち止まって動かない私を見て、その人は言う。
「えーっと?どうしたんです…?」
これが、私とセンセイの出会いだった。
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なんで、先生変わってるの!?
前までは優しい女の先生だったのに……
今は、その席にちゃっかりとイケメンセンセイが座っている。
いやいやいや。
確かに私、離任式休んだけど。
「あ、あのー……」
「センセイって、いつからここに?」
恐る恐る、尋ねる。
「あぁ、今日からですよ。」
さらっと答えてくれた。
それにしても、今日から、かぁ……
こりゃ、女子が黙ってないだろうな…
そう思えるほど、このセンセイはイケメンだった。
すっと通った鼻筋に、サラサラの黒髪。
眼鏡に隠れない、綺麗な黒目。
どこからどう見ても、アイドル並みのイケメンだ。
「それで、どうしたんです?坂野さん?」
「あ、絆創膏を………って、なんで私の名前…!?」
「え?いや、だって名札…」
「あ……//
すみません…!」
「いや、全然、そんな。それより絆創膏ですね、今持ってきます。」
そう言って、保健室の奥に消えたセンセイ。
残された私は、その場ではぁっと溜息をつく。
なぜだかは分からないが、自分の頬が朱に染まっていた。
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その日から、明らかに保健室に向かう生徒が増えた。
近づくと、女子生徒の黄色い声が上がる。
何日か経つと、センセイが放課後に逃げているのが日常になった。
「あ、センセイ……またですか……」
大変ですね、と声を掛ける。
「そうなんですよねぇ…」
そんなに困るなら、言えばいいのに。
それができないほど、センセイは優しいってことなのかな。
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「すみませーん」
「はい…ってあぁ、坂野さん。今日はどうしたんです?」
「えっと、今日は腕を怪我しちゃって……」
「腕ですね。少しそこに座って、待っていて下さい。」
「はい、」
えーっと、と言いながら保健室の奥に消えていくセンセイ。
私の腕は、バレーで変なところに当ててしまったせいか、赤く腫れてしまっていた。
やがてセンセイが戻ってくると、私に手当てをしてくれた。
とても丁寧で、柔らかくて。
至近距離で触られ、見つめられて……
ありがとうございました、とか細い声で言ってその場を去る。
走りながら、ドキドキする心臓を抑える。
あぁ、きっと私……
センセイに、恋してしまったんだ。
絶対に、叶うことの無い恋を。
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それからというもの、私は。
センセイに会って話したり、顔を見たりするだけで、心臓が変な音をたてるようになった。
単純な性格だな、私って。
自分でも、もう笑うしかない。
それでも、私はセンセイが大好き、だ。
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叶わない恋だと、わかってる。
だから見つめるだけでいい。
これが、私の「恋の形」だ。