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君を呑む
日替わりお題 ワイン
グロ表現あり
いつからだろう、君が好きだった。
電車の中で横に座っている君が、授業中に先生にイジられてた君が、ギターを弾く君が。全部大好きだった。私は君に好きだと告白したかった。
私は君にとってただの家が近い友達なのだろうけど、私にとって君は憧れで大好きな存在だった。私に足りないものが全部ある人。私の目指す目標…とまではいかないかもしれないが、尊敬している人でもあった。
「好きな人ができたんだ。」ある日君は雑談の中で言ってきた。私の中には君しかいないようなものだったから、息を呑んでしまった。
「そっか、頑張って。」私はこれしか言えない。君に好きな人が居るのに告白する訳にはいかないから。胸がぎゅっとなる。苦しい。どうすれば良いんだ、この気持ち。
「ウチね、この人が好きなんだけど〜」と言いながら見せてくれたスマホの画面を見る。見たけど、頭には何も情報が入ってこない。君はどうして私以外のことを好きになるの?前に大好きって言ってくれてたじゃんか。
「………聞いてる?」
「…えっと…ぁ…ごめん……あ、その…大丈夫…聞いてる。」
「良かった~…なんか聞いてなさそうだったから笑」
あはは。君が笑ったから笑っておく。笑っていながらも私の心臓が押しつぶされていた。
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その日の夜、不思議な夢を見た。
今日君の好きな人を知ったあの時の夢だ。
「好きな人ができたんだ。」やっぱりこう言われることを知っていても驚きは少しある。でも驚きよりは苛立ちが勝った。私以外のことをもう見ないでほしい。筆箱からハサミを取り出す。蓋がある感じの、細いやつ。
「………ぇ…急に…どした?」
君の首を掴む。掴んだ手がない方にハサミを刺す。君は声にならない声を発した。君の目は私の方を見ていた。ゲテモノを見るような目で見ていた。血が噴き出る。赤ブドウワインみたいな色だった。綺麗だった。君の血を飲みたい。血が噴き出ている首に唇を当てた。飲んだ。味はしなかった。でも、君の血がなくなるまで飲んだ。君の血をワインだとしたら、そのワインのおつまみとして君の肉をたべた。味はしなかったのに、美味しいと感じた。
君は骨だけになった。私の中は君で溢れている。
そんな不思議で、君が私のことを最大限に感じてくれて嬉しいような君がなくなって悲しいような。そんな夢をみた。
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「おはよ!」君が後ろから私の肩を思いっきり押してきた。君は生きている。私は君を飲んでないし、食べてもいなかった。
「おはよ。」返事をした。これからあんな夢はみたくなかった。君を呑む夢はもうみたくない。
生きてる君がもっと愛おしくなったから。
上手く書けませんでした。お題を絡めるのが難しいです。あと怖いですねこれ。なんで思いついたんでしょう。