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変わり変わらず/🤪🦁【IRIS】
こんなのあったらいいなって思って書きました
それじゃあいってみよ〜
あにきが変わった。
小さい頃と全く違う。
小さい頃はいつも俺に遊んでだの構ってだの言ってきて。
年上だけど弟みたいで可愛いななんて思って接してきた。
…でも、今は違う。
「あにきー!ちょっと歌練習付き合って〜」
「お、ええでりうら!」
「ねぇあにきぃぃ!いむしょーうるさいから手伝ってぇぇ」
「おぉないこ待て待てw」
こんな風にみんなにあにきって呼ばれて慕われてる。
いつのまにか俺もあにきと呼ぶようになっていた。
あにきは小さい頃とは全く違うようになってしまった。
…少し、寂しい。
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それから少し経ったある日。
「…あれ?」
「ん、どしたのまろ?」
「スマホがない…レッスン部屋に置き忘れたのかも」
「えぇマジ?」
「うん…もう遅いし、ないこ先帰ってて?ごめんな」
「全然いいよ〜んじゃまたね!」
「うん、またな〜」
…全く、スマホを忘れるなんて俺馬鹿すぎるだろ。
そんなことを思いながら駆け足で部屋へと戻る。
すると…
「…ん?」
レッスン部屋から、靴の擦れる音が聞こえてきた。
少し音楽も聞こえる。
誰がいるんだろうと思いながら、静かにドアを開ける。
「…あれ、まろどしたん?」
「あにき…あにきこそこんな時間までダンス練習してたん?」
「うん、まぁいっぱい練習した方がいいしな〜」
…すごい。すごすぎる。
さすがあにきだ。
「んで、まろこそどしたん?」
「あぁ、スマホ忘れちゃって…」
「あ、あれまろのやったんや!床にあったから机置いといたで」
「え、マジ?ありがと〜」
そう言って机を見ると、確かに俺のスマホが置かれていた。
きっと床だと踏まれたりして危ないと思って置き直してくれたのだろう。優しい。
「…あにきもう帰るの?」
「そうしよっかな…まろは?」
「俺ちょっと歌練習しよっかな…」
「おぉ、頑張れ〜」
「んじゃ…またねあにき」
「うん、またな」
パタン、とドアを閉める音が響く。
…実は歌練習をするというのは嘘。
変わってしまったあにきと、長くいるのが少し辛かったから。
俺は本当に…ずるいやつだと思う。
「…はー、どうしよっかな……」
歌練習をすると言ったし、今出ていくのは流石に早すぎる。
かと言って、本当に歌練習する気にもなれない。
「スマホでも見るか…」
そしてそれから10分ほど、スマホを見て時間を潰した。
でも、そこで思い浮かぶのはやはり”小さい頃の”あにきの姿で。
……戻ってほしい。そう思ってしまう自分を殴りたくなった。
「…帰るか」
流石にもう大丈夫だろうと思って部屋のドアを開け、廊下を歩く。
しんとした廊下が、やけに俺を寂しくさせた。
そして、外へ出るためにまたドアを開く。
「…はっ?あにき?」
「やほ〜」
そこにはあにきが立っていた。
心なしか、耳が赤く染まっている。
「いややほ〜じゃなくて!ずっと待ってたん…?」
「うん」
「えぇ…」
この寒い中、俺を待っていた?
なんで…?
「なんでこんな寒いのに…しかも手袋も何もしてないじゃん」
「いやだって…寂しいやん?」
「え?」
「なんか冬の中1人で帰るのって寂しいやん?やから…」
そう照れくさそうに言ったあにき。
いつもでは考えられない言葉だ。
「……一緒に帰って、くれへん?」
「…ははっw」
なんだ。
…やっぱりあにきは、変わってないな。
まろにき好きですこれほんとにあったら尊死(