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#9 わん!特別編「文ストシンデレラ」
「文豪ストレイドッグスわん!」の内容です。
連載中である「英国出身の迷ヰ犬」の番外編になります。
オリキャラ注意。
英国出身の迷ヰ犬
https://tanpen.net/novel/series/dbc4b7a3-d5a6-4927-bd3f-8e75383d3519/
No side
昔々、あるところに|敦《シンデレラ》という名の心優しい娘が居ました。
|敦《シンデレラ》には意地悪な|院長《継母》と|芥川《義姉》が居ました。
「掃除はまだか! この穀潰しが!」
|院長《継母》は|敦《シンデレラ》を叩き、|芥川《義姉》は踏み付けていました。
(憶えとけよ…)
そう心の中で思った|敦《シンデレラ》は、|見て《読んで》分かる様に割とタフでした。
そんな在る日、お城で舞踏会が開かれることになりました。
王子の結婚相手を探す為の舞踏会。
早速、|院長《継母》は|芥川《義姉》を連れて出かけて行きます。
「僕は当然お留守番…」
服も靴もボロボロだが、舞踏会に行きたかった。
そう、|敦《シンデレラ》は独り言を呟く。
「起きろ少年! その願い、叶えてしんぜよう!」
突如現れたのは変な帽子を被り、変な棒を持った太宰─。
「私は親切な魔女だよ。敦君を扶けに来たんだ」
「敦じゃないです。シンデレラです」
そーれ、と|太宰《魔女》が変な杖を振るうと|敦《シンデレラ》の服が綺麗な桃色のドレスへと変わった。
全く違う姿に|敦《シンデレラ》は驚きを隠せない。
「何とお礼を言ったら良いか。如何してこんな親切を…?」
「それはモチロン面白そう…ゴホッ、君が毎日健気に頑張っているからダヨ!」
|太宰《魔女》は本音がダダ漏れだった。
「そうだ、一つ約束だよ。十二時までには必ず帰ってくること」
時間になったら異能『人間失格』で、その変身を解除しに行くからね。
そう言った|太宰《魔女》に、|敦《シンデレラ》はツッコミを入れる。
「異能!? 魔法じゃなくてこれ異能なんですか!?」
「間違えた魔法だった」
「あー吃驚した。急に原作の世界観持ってくるから…」
「まぁ、十二時になったらそれ脱げるから早く行ってきたら?」
ザ・投げやりの|太宰《魔女》だった。
(僕が舞踏会に来れるなんて夢みたい!)
会場に着いた|敦《シンデレラ》はワクワクしていた。
(王子様…一体どんな人なんだろう)
「なんて素敵なお嬢さんなんだ。私と踊ってくれないか?」
振り返るとそこには|ルイス《王子》がいた。
「いや何で!?」
「|海嘯《作者》が原作で王子役をしていたキャラを出したくないんだって。まだ本編に出てないし」
「|尾崎紅葉さん《花見の時にいらした方》(#7参照)は良いのに×××××××××はダメなの!?」
「ほら、伏せ字にされるでしょ?」
本当だ、と|敦《シンデレラ》は感心していた。
「あと、このままだと僕の出番なさそうだから」
「さっきから思ってたんですけど、メタすぎません?」
「因みに×××××××××は路頭を迷うホームレス役です」
「シンデレラってそんなキャラ出てきましたっけ?」
「いや、今テキトーに考えた」
「何してるんですか…」
とりあえず、と話を進める為に王子は|敦《シンデレラ》の手を引いた。
何処からか舞踏会の音楽が流れ始める。
身長的には完全に役が逆だ。
「それでは私が魔法をかけましょう」
いきなり現れた|太宰《魔女》が変な杖を振るうと、二人の衣装が変わった。
ルイスが純白のドレス、敦が純白のタキシード。
髪型も変わったこともあり、二人ともいつもと雰囲気が違う。
(…可愛い)
そう、敦は心の底から思った。
何故か髪が伸び、後ろで結われているルイスの姿はまるで少女のようだ。
それは自身なんかよりシンデレラに向いていたのでは、と本気で思ってしまう程。
「敦君って踊れる?」
「え、あ、恥ずかしながら…」
「じゃあ僕がリードしてあげるよ」
こうして踊ったシンデレラと王子は結婚し、末長く幸せに暮らしましたとさ。
おしまい。
「元気ゴリゴリ🦍」で作らせていただきました。
敦君とルイス君のイメージです。
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