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第十夜「百の灯が消える時」
最終夜の語り部は、町の住職・蓮見宗道。彼は静かに語り始める。
「百物語とは、百の怪異を語り終えた時、何かが“現れる”という言い伝えがある。だが、鬼灯町では百話目が語られたことは一度もない」
昭和十一年、灯籠会館で語られた九十九話目の夜、大澤陽一は最後の語り部だった。彼は語り終えた瞬間、誰にも告げずに姿を消した。以降、町では彼の名が怪異に紛れて現れ続けてきた。
蓮見は言う。
「陽一は語られた者であり、語る者でもある。百話目を語ることで、彼は“解かれる”のだ」
その夜、灯籠会館の灯りが一つずつ消えていった。最後の灯が消えた瞬間、会館の中央に、濡れた赤い下駄と一冊の日記が置かれていた。
日記の最後の一文には、こう記されていた。
「ありがとう。やっと、終わる」
その瞬間、町に長く続いた雨が止んだ
シリーズ完結です‼️
見てくださりありがとうございました!