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友達作り⑫小学生のころ
星
だって、そこに立っていたのは、他でもない佐藤くんだったから。「奈々。おい、奈々」「何……」奈々は、少しすねたような声をわざと返して見せた。急に逃げ出してしまった気まずさと、恥ずかしさで、まともに彼の顔を見られない。そんな奈々を見下ろしながら、佐藤くんはぽつりと呟いた。「俺、中学でお前と同じクラスになれるなんて思ってなかったんだ」「え?」奈々はびっくりして、思わず顔を上げた。「俺、小学校のころから、奈々が好きだったんだ」「……でも、小学校のときにそんな子……」奈々の記憶をどれだけ探っても、通っていた小学校に「佐藤くん」という名前の男子はいなかったはずだ。奈々が怪訝な顔をすると、佐藤くんは少し遠い目をして続けた。「ほら、奈々の小学校って、雫小学校と合体したじゃん? その雫小学校にいたんだ、俺」「雫小学校……? 確かに合体したけど……」奈々は信じられなかった。あの雫小学校の中の一人が、目の前にいる佐藤くんだったなんて。「俺、ずっといじめられてたんだ、学校で」「そうなの……?」「あぁ。それで、上靴を隠されたことがあって」「上靴?」奈々が質問すると、佐藤くんは小さく「うん」とうなずいた。「それで、ずっと一人で探してたんだよ。そしたらさ、一人の女の子が歩いてきて。名札に、奈々って書いてあった。俺に『どうしたの?』って話しかけてくれたんだ。でも俺、その時は今よりずっと人見知りだったから、何も言えなかった。だから、無視するみたいに何も言わずにまた探し始めたんだ。恥ずかしかったよ、何も言えない自分が。でも、そいつはさ、俺の顔と、靴箱の中を探している姿を見ただけで全部察したんだろうな。何も言わずに、すぐに一緒に探し始めてくれたんだ。あの時は本当にすごいと思った。なんて推理力が抜群なんだろうって。……その時、自分の気持ちに気づいたんだ。俺、この子のことが好きだ……って。あの恋は、人生で最初の恋だった。一目ぼれっていうもんだな」優しく微笑みながら語る佐藤くんを見つめたまま、奈々は完全に固まってしまった。「私が、佐藤くんを……?」あまりにも信じられない過去の話に、頭の中が大混乱していく。ずっと昔の、自分さえ忘れていたような小さな出来事。それが、目の前のぶっきらぼうな男の子の「初恋」になって、今こうして目の前で繋がっているなんて――。