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#3 身体の異変と言葉の異変
『貴方は成功で、わたしは失敗作。恵まれて良かったね』
…なんなんでしょう、このメッセージ?ひどく侮辱的で、屈辱的で、批判的です。
インターが悪戯でもしたのでしょうか?いえ、あんな幼稚でSNSとお菓子のことしか考えていない彼女が、こんなことするはずがありません。
きっと、誰かが悪戯したものでしょう。先日の男子高校生の悪戯だったら、それは逆恨みというもので、その時はまた対処すべきでしょう。全国ニュースで退学と報道されて、プライドがずたずたになっているのかもしれません。それはそれで面白いでしょう。
取り敢えず、いまのメッセージを消去しておきます。履歴から消しておきましょう。インターに言うほどの価値も、希少性も、害悪さもないのですから。
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「インター」
「何ぃ?」
コンソメ味のポテトチップスはわりと味が強い。昨日と今日2回に分けて食べようと、いつもの水色のクリップでとめていた。
「しなしなしてて美味しくない〜うぅ〜…ネット、どうにかしてよぉ〜…」
「わたしは人工知能のアンドロイド、ロボットですが某青いネコ型ロボットのような性能は持ち合わせておりません。予告通りです」
「え?」
ふと、昨日の会話を思いだす。
〝クリップの留め方が甘いです。隙間から湿気が入り、明日には『しなしなしてて美味しくない〜うぅ〜』と私に泣きつくあなたのログが予測できます。……貸してください、私がやり直します。インターはさっさと座標を確認してください〟
そんなネットの手を振り払う。
〝だ〜いじょうぶだってぇ〜〟
〝何をやっているのですか?知りませんよ、泣きついてきても〟
うげぇ、と思う。しなしなした味が強い味ももみ消し、その上から記憶の苦みがかさむ。
「…はい」
「それに」
また付け加えるつもりだ。お説教タイムは長いからなぁ。止められたらいいものの、馬鹿な過去のわたしはその機能を付けていない。
「お菓子ばかり食べていたら、また…」
「わーわーわーわーわー!!」
「なんですか」
「もうっ、2人でも言わないでよ!!そんな太るとかさぁ!!」
「でも本当です。貴方は…」
「わーわーわーわーわー!!ほんとの体重はNGだって言ってんでしょ!!」
「そんなに言われたくないのなら、まずはお菓子を控えてください。糖分がうだうだなら、ブドウ糖配合のラムネのみ許可します。小腹が空いたら、まずは野菜スティックかこんにゃくか小魚かナッツ類を摂取してください。そもそも、私が作る料理は基本的に私は食べないので、貴方に合わせて作っています。体重や身長などから計算し、適切にしています。それなのに貴方は5回もご飯をおかわりして…もっとゆっくりと、よく噛みながら食べたらそんなことになりません。貴方は幸い、忙しいサラリーマントちがって時間がたっぷり、ゆとりがあります」
「もうしつっこいなぁ!」
すると、パッとネットにポテトチップスをぶんどられる。
「何するのっ!」
それから、ネットはぴゅーっと遠く行ってしまう。
「待ってよっ…」
くぅ、義足だとうまく走れない。
「それに、お菓子を制限されたくなければ食生活を整えてください。私が整えていますが、貴方はキャベツサラダを好まない傾向にあります。そして、運動もきちんとしてください。義足だからと言って走り込みはしていませんが、ラジオ体操などは上半身を動かすのに最適です。足を使うところはやらないでいたらいいです」
「もうっ、返してよ!ロボット三原則っていうものがあるでしょっ」
「今回はそれにあてはまるほど|大事《おおごと》ではございません」
「なんでこういうときにっ…」
そう言われて、泣く泣くお菓子は封印することになった。ったく、なんでこういうときに冗談もどきが通じるのかね。