公開中
第1話 もっと遠くへ逃げよう。
とろしゃけ
これ、百合だと思う?ふふ、まだ分かんないよ。
夏音「…………」
暑い夏の夜、須藤夏音(すどう かおん)は1人道端の木で休んでいた。
夏音「夜でもいつも暑い…………今日どうしよ…………」
夏音は、捨て子だった。
だからいつも居候してたが、もう行く場所が無くなった。
夏音「あ〜〜〜私今日死ぬのか〜〜?」
ぼーっと夜空を眺めてると、夏音の絶望を照らすような、小さな光が通った。
夏音「あ、流れ星」
願い事なんてない。自分はいらない子だから。
そう思って流れ星を見届ける。
夏音「…………あ?」
流れ星が大きくなってる、というか夏音の方に来ている。
夏音「っは?!何でこっち来てんの!?やっぱ死ぬんじゃーん!!」
逃げる間もなく地面にぶつかる。
?「うわあっ!!」
夏音「だ、誰だよお前ぇ!?」
?「……ぇ…?」
夏音「誰だって聞いてんでしょそこの黄色髪!!!」
くらこ「寺塚くらこ!私くらこだよ!!」
夏音「くらこ?なんで流れ星と一緒に来たの!?」
くらこ「まあ色々と」
夏音「はあ?!」
黄色髪ロングのくらこが芝生に転がる。
くらこ「……ねーなんでこんなとこいるのー?」
夏音「えー……まあ…散歩……みたいな…」
くらこ「ここら辺家ないよ?」
夏音「………家が…ないというか……その…捨てられた……か…………ら……」
くらこ「へえ?なんで人間ってこんな小さな子供を捨てちゃうの?」
夏音「くらこも同じぐらいの年齢でしょ……」
くらこ「ま、まあね!」
夏音「……なんでって…分かんないよ……そんなの…」
夏音「だって…いらない子…………だから……」
くらこ「?」
くらこが夏音の顔をぱっ、と見る。
少し光る雫が、夏音の腕に一滴、また一滴と落ちる。
くらこ「!?どうし、どうしたのぉ!?!?」
夏音「私……変なものが見えるの…」
くらこ「変な……もの……」
夏音「だから……みんなに嫌な目で見られて、親にも気持ち悪いって思われて……捨てられた……でもね、捨てられたというよりかは、私が逃げたの。」
くらこ「なんでぇ?」
夏音「殴られそうになった。鈍器で。」
くらこ「…………は?」
夏音「だから、死ぬと思って家から出てって……それから親に見つからないように……逃げてる……」
くらこ「……ふーん……じゃあさ、」
夏音「…なに……」
くらこ「私と逃げようよ。もっと遠くへ。」
夏音「……?無理だよ……ここが1番家から遠いんだから……」
くらこ「私となら行けるよ!きっと、月まで。」
夏音は月になんてなおさら無理だよ。
と言いそうになった。でも、くらこの顔が本気だった。
夏音「……本当に…行くつもり……?」
くらこ「行けるよ。大丈夫。」
くらこが夏音に手を差し伸べる。
と、近くに人影が見える。
夏音「…………あれ……人……?」
くらこ「あ!ほんとーだ!誰かな?」
くらこ「ちょっくら驚かしてくるー!」
夏音「ば、ばか!!ダメに決まってるでしょ!?」
夏音の忠告も聞かず、くらこは人影へぐんぐん進む。
くらこ「**ばあ!!**」
大きな声で叫んだ。
夏音「………………?」
夏音はどこか2人の影がおかしく見えた。
なぜなら、もう片方の影が何も動いていなかったからだ。
夏音「驚いてないのか……?」
くらこ「なーんだ、そういう事ね」
夏音「なにが?」
くらこ「なーんでもない!」
くらこ「__……………………私の事が見れないなんて、可哀想。__」
夏音「…………ぇ?」
月まであと約38万4400km。
二人は月へ行けるかな?