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地震の中、君達と出会った②
地震の影響で帰宅困難となったちぐは。
「……仕方ない。安全が確認できるまで、僕たちの拠点(ハウス)にいなよ」
気だるげに、でもどこか独占欲を孕んだ瞳でそう告げたのは、スワロウテイルの探偵・恵美まどかだった。
拠点のソファに座るちぐはを、3人の男たちが取り囲む。
「……おい。座り方もなってないな。そんなんじゃ足が痺れるぞ」踏分誠一が、ぶっきらぼうにクッションをちぐはの背後に差し込む。
「……余計なお世話です」
「あぁ!? せっかく気を使ってやってんのに……。ったく、顔だけはいい癖に可愛げがないな」誠一は苛立ちを隠さないが、その耳はわずかに赤い。
一方、神柴健三は無言で温かい紅茶を差し出した。
「……どうぞ。まどかさんのお口汚しにはなりませんが、あなたには十分でしょう」
「……ありがとう」ちぐはがカップを受け取ろうと指が触れた瞬間、健三の動きが止まる。
(……なんですか、この吸い付くような肌は。……不快ですね。まどかさん以外の人間に、これほど心を乱されるのは……)健三はすぐさま手を引いたが、その瞳にはちぐはを「排除」したいのか「独占」したいのか、危うい光が宿り始めていた。
「ねぇ、ちぐは」ソファの隣に、いつの間にかまどかが潜り込んできた。
「……っ、近い……」
「いいじゃん。僕、綺麗なものは忘れない主義なんだ。君の顔、1ピクセルも逃さず記憶してあげる」
まどかの細い指先が、ちぐはの頬をなぞる。
「……やめて。私、そういうの、よく分からないから……」顔を赤らめ、視線を泳がせるちぐは。
その「恋愛に対する圧倒的な不器用さ」と「無自覚な色香」が、3人の独占欲に火をつける。
「……おい、まどか。そいつ、あんまり甘やかすなよ」誠一が割って入る。
「誠一。彼女の管理は僕がする。僕が選んだ最高に似合うやつをね」
「……分かりました。ですがまどかさん、彼女の世話は私がします。まどかさんの手を煩わせるわけにはいきません」3人の視線が交差する。
助けられたはずのちぐはは、彼らの間に流れるピリついた空気の意味に、まだ気づいていない。
「(……みんな、私のこと嫌いなのかな。……怖い顔して)」不器用なちぐはの勘違いと、3人の加速する「寵愛」。
ここから、逃げられない共同生活が本格的に幕を開ける——。