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豆まき
2月2日、節分。
私は姉と一緒に外に出て豆まきをした。母さんはスーパーで寿司を握っている。節分は恵方巻きの注文がとても多いから帰りが遅い。姉が昔母さんに教わったやり方で恵方巻きを巻いてくれる。不器用だから海苔からご飯がはみ出していたり、断面が歪だったりするけど、愛情たっぷりで美味しい。私は姉さんに恵方巻きの作り方を教えてもらうことにした。
2月2日、節分。
去年、姉さんに教わった作り方で恵方巻きを巻く。そしてそれを丁寧にタッパーに詰め、紙袋へ入れて外に出た。
病室に着くと、姉さんが私の持っている紙袋を見た。
「何が入っているの?」
「自分で見なよ」
私がニヤニヤしながら答え、紙袋を差し出すと姉は袋の中を覗き込んだ。袋の中を見た瞬間姉もニヤけだした
「恵方巻き!作ったの?」
私が頷くと姉は顔をほころばせ、「うれしい、、、」と呟いた。
2月2日、節分。
私は1人で壁に向かって思いっきり一粒の大豆を投げつけた。それは壁にぶつかり、床にカタリと落ちた。私も床に崩れ落ちた。
節分は嫌いだ。
私は横を見る。姉の顔がそこにあった。黒いリボンの掛かった額縁の中に。
2月2日、節分、そして姉の命日。
せっかく作った恵方巻きをニヤニヤしながら食べてくれる人はもういない。
床に落ちた豆は、まるで私のようで、ひどく惨めだった。
節分はとっくに過ぎてる?
何言ってんの、節分がとっくに過ぎ去ってたら来週が期末考査になっちゃうじゃない。
そんなはずはないわ。