公開中
14.満足
そして、2人はあの後別れた。
つなぎのぷよぷよは放ったまま、自分のペルソナノートに目を向けた。
「こ、コミュニティ…考えてみましょう…!」
西園寺にはぜひ魔術師コミュ、それから皆を当てはめていく。
この時間だけは、罪木蜜柑は1人になれた気がした。
そして…ふと、時計を見た。
3:00
「う、うわああああああああっ!!」
罪木は悲鳴を上げた。
夜の3時。
すでに深夜を通り越している。
明日は授業があるというのに、とんでもない時間になってしまっていた。
『ペルソナ』のノートに夢中になりすぎて、時間を忘れてしまっていたのだ。
それは、ゲームに熱中していた時と同じ。
ただ、今回は自分の頭の中にある世界に夢中になっていたのだ。
「ま、まずいです…!先生に…先生に怒られちゃいます…!」
罪木は慌てて、ノートとペンを机の引き出しにしまい込んだ。
ベッドに潜り込み、布団を頭までかぶる。
「ううっ…!でも…でも、なんだか、すごく…楽しかった、です…!」
明日の朝は、きっと眠くて頭がぼーっとしているだろう。
先生に怒られて、クラスメイトに変な目で見られるかもしれない。
それでも、罪木は後悔していなかった。
誰にも言えない秘密のコミュニティ。
誰にも見せない特別なノート。
それは、彼女が現実の苦しみを乗り越えるための、大切な『ペルソナ』だった。
そして、その『ペルソナ』は、孤独な夜の闇の中で、彼女の心を確かに守り続けた。
罪木は、少しだけ重くなったまぶたを閉じ、夢の世界へと旅立っていく。
きって、彼女の作ったコミュニティの仲間たちが、優しく微笑みかけていることだ。