公開中
プロローグ
世界の片隅に、雨が降り続ける地域があった。
24時間365日、雨が止む事は無かった。
始めのうちは小さな水溜りしか無かった大地が、やがて、長年の時を経て、海抜の低い場所から沈んでいき、そして、島となった。
1つの山があるだけの島の様になったその地域。
雨が止む気配は無かった。
雨は今も、振り続けている。
---
薄暗い病院内に、足音だけが鳴り響く。
不気味ささえ感じるこの空間の中に、1人の少女がいた。
少女もまた、不思議で、妖しさを感じる容貌をしていた。
少女は「666号室」と書かれたプレートの前で立ち止まると、その扉を開ける。
そこには、ベッドの上に座る、手足が赤黒く染まり、蝶の羽の様な物が生えた、もう1人の少女がいた。
???「―彌月。」
声をかけると、"彌月"と呼ばれた少女は振り向き、笑みを浮かべる。
姉は妹に近寄ると、優しく頭を撫でながら寂しそうに呟いた。
???「···彌月。ごめんね。お姉ちゃんが、必ず治してあげるから。それまでもう少しだけ、待ってて。」
姉の声は、2人きりの病棟の中、雨降る島の中に、静かに吸い込まれて消えていった。
これは、海に沈んだ島の|建物《病院》から見つかった、とある人物が書いた島が完全に沈む最後の1ヶ月間の|記録《物語》。
✞怪異病棟666号室、開幕✞
1ヶ月間の記録ってくらいだからまぁ30話程度で完結でしょう。