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秋
どれだけ時間が経ったのだろう。
あの日から、いったい何日経ったのだろう。
とりあえず、これを読んでいる人に向けて、何があったのか全部書き残そうと思います。
此処は危険です。
山の色彩が鮮やかになってきたあの日の早朝。
ちょっとボーっとしている間に、私は普段の散歩道にはいませんでした。
「道路はあるけど家は無い」という感じの場所にいました。
側には知らない花がいくつか咲いていました。
しばらくの間、一方に歩き続けていると鳥居が見えてきたんです。
それは一つだけではなく、合計で七つ。
少し怖かったが、私は好奇心に負けてそれをくぐってしまった。
一つくぐる度に、得も言われぬ不安を覚えました。
足元の枯れ葉を踏む時の音が、とても耳に残っています。
ほんと、此処でビビって逃げれば良かったんですけどね。
私は全ての鳥居をくぐりました。
気づけば自分の家の中にいました。
休日ということもあって二度寝したんです。
だからまた目覚めるまでは気づかなかったんです。
窓の外の世界が、大きく変わっていることに。
その景色は、私の町に伝わる神界とよく似た場所でした。
今はまだバレてないですが、明らかに危険な化け物が沢山います。
私の町に伝わる話では、それらの退散方法についても記載があります。
今からそれを…
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こちらは「永田ヶ谷市連続神隠し事件」の被害者の一人。
行方不明になった女性の自宅に落ちていたカレンダーの裏に書かれていた文章です。