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ワンライ詰
ワンライ系です。深夜じゃないけど
リハビリするはずだったのに、お題が彼らすぎてリハビリにならなかった。ちなみに全部一発で出たやつ。
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①芥敦版深夜の真剣文字書き60分一本勝負
本日のお題は「黒」です。制限時間は60分。(https://shindanmaker.com/719301)
(黒いなぁ)
月もない夜、闇の中へと溶けていく背中を眺めながら思った。
まあ、職業がヨコハマの夜を守るマフィアな上に、異能も「黒獣」とか呼ばれている彼奴なのだから当たり前ではあるのだが。
今日はポートマフィアとの共同任務だった。
作戦の指示をインカム越しに聞きながら背中を彼奴に預けて戦った。
少々厄介な敵がいて、月下獣羅生門を使う羽目になったのだが。
その時に見た彼奴に、一瞬だけ驚いたのだ。
闇の中、少ない明かりに照らされた、真っ白な|寛衣《ブラウス》。
共闘することの増えた今となっては見慣れた光景であった筈なのに、今日だけはそれに目を奪われた。
最近は見ることがなかったからだろうか?
その姿に、数ヶ月前の船上での闘いの姿が重なって。
一瞬だけ、恐怖を感じた。
けれど、その後再開した時の、変化した彼奴を思い出して。
安心したと同時に、最初の言葉が頭に浮かんだのだ。
彼奴は黒い。姿も、異能も、居る場所でさえも夜の中だ。
もしかしたら腹の中まで黒いんじゃないか、とか思うこともある。
彼奴のことを、魂まで黒いんじゃないか、とか云う奴もいるだろう。
彼奴自身でさえもそう云うかもしれない。
けど、僕はそうは思わない。
ここまで言っておいて可笑しいかもしれないが。
けど、彼奴の本質は黒一色では決してないと思うのだ。
それこそ、外套の下が新雪のように真っ白であるように。
顔の横のの毛先が、まるで絹糸のようにきらりと光るように。
彼奴は、人を殺すだけの兵器じゃない。
この数ヶ月で、彼は“人を殺さないこと”を知っているのだから。
僕は、彼奴の優しい面だって知っている。
妹さんのことを話す時に少しだけ柔らかくなる表情。
部下のことを話す時の、ほんの少しの心配。
こんな面を見せる彼奴が、何もかもを闇に堕とした黒な訳がない。
誰がどんなに彼奴を「禍々しい黒色」と云ったとしても、僕はこう云うだろう。
一見黒に見えても、それは白の混ざった、美しい墨色だと。
② 太中は ” 信愛 ” をテーマに ” キスしている ” 作品をつくってみましょう(https://shindanmaker.com/721751)
※DEAD APPLE捏造
「一寸、少しは起きたらどうなの」
少しずつ晴れてきた霧の中、そう云って彼を揺さぶってみるが反応はない。
霧が晴れるまではここにいる心算ではあるが、こうも近くで無防備になられると少々障りがある。
(周囲も見えるぐらいにはなってきたなぁ)
風にふわりと揺れたその鉛丹色を撫でる。
その感触に、先刻の空中での出来事を思い出した。
『ああ、信じてたさ。手前のクソ忌々しい程の生命力と悪知恵をな』
仮死状態と云える状態だった私は、彼が私を殴ったことによって(間接的にだが)目覚めた。
彼はそう云ってはいたが、私のことを信じていてくれているのだろう。
実際にそうだし、私がそれを違えたことはないのだから。
けれど、私がその“信愛”以上を抱いていたとしても、それは変わらないのだろうか。
変わらないのならばそれで良い。だが、変わってしまうのならば。
それだけが柄にも無く怖くて、私にしては珍しく、抱え込むなんて真似をしている。
本当なら、私は彼に触れたい。
そうする必要が無くても、ただ、伝えるために触れてみたい。
その碧い目を、自分で満たして欲しい。
その手が愛情を持って触れるものを、私だけにして欲しい。
こんな無防備な姿を、他のものには見せたくない。
死にたがりにしては珍しく、欲まみれだ。
(私らしくないなぁ)
そうだ、この霧の所為にしてしまおう。
殺されかけた所為にしてしまおう。
そうでもないと、この言葉は“私”には到底口に出せないものだから。
「────」
そう云って私はまた、その髪と頬に触れた。
暖かく柔らかなそれをもう少し自分だけのものにしていたいけれど。
(時間かな)
霧が晴れた。
周囲の惨状が明らかになると同時に、空気もまた、殺伐としたものに戻ってしまったようだった。
私は脚に乗っていた頭をそっと退かすと立ち上がった。
地面にみっともなく横になっている彼の体を塀にもたれかけさせる。
彼はまだ目覚めない。
ほんの少しの出来心だった。
「……」
初めて自分のそれが触れた場所は、滑らかで暖かかった。
当の本人は、自身の鼻に当たった柔らかい感触に気づきもしないだろう。
それで良い。それが良い。取り敢えず、今は。
「いつかは唇にしたいなあ」
その呟きは誰にも拾われることなく消えた。
③芥敦のお題
「っは〜〜〜〜〜〜もうお前嫌い!!!」
この台詞をベースに作成してください。
(https://shindanmaker.com/1179446)
※付き合ってる
※芥川を龍呼びしてる
「龍」
「……」
「龍之介」
「厭だ」
「……芥川」
「ッ……厭だ」
ここまで云ってもしないならば仕方ない。
叱るしかないだろう。
「だぁっっっっっもうっ! ご飯食べろって云ってるだろ!」
彼は僕の大きな声に体を縮こませたものの、スッと目を逸らしただけだった。
話は少し遡る。
最近龍之介は遠方へと出張に向かっていた。
今日はその帰宅日。
仮にも恋人であるのだから会いたいと思うのは当然だろう、と云うことで。
不殺チェックもしつつ、彼のセーフハウスへとやって来たのだが。
痩せている。
どう見ても、痩せている。
否、此奴が痩せているのは元々なのだが、それ以上に細い。
痩せこけていると云うわけではない。だが、食べていないのが丸わかりだ。
そんなこんなで、今僕は恋人を床の上に正座させているのである。
「彼方でどうしてたんだよ! 全然食べてないだろ!? 真逆1日を無花果一個で過ごしたとか云うなよ!?」
そう一気に捲し立てると、ぼそりと「一応ヨーグルトも食べた……」としたの方から聞こえる。
ほう、此奴にしては食べるようになった……じゃなくって!
「それでもカロリーになるもの食べてないじゃないか!」
ヨーグルトと無花果って。
なんだ、此奴。女子高生か?
二十歳の成人男性だろ?
「あ〜っもう! それだからこんなに顔色悪いんだよ! 銀さんや樋口さんたちに心配かけて良いのか!?」
そう云うと、ぐっと言葉を詰まらせて罰の悪い顔をした。
大切な妹や部下の名前を出すと、比較的大人しくなる。
このことは付き合って最初の頃に知った。
(食べさせろって云うのは実は中也さんからも言われてるんだけど……)
上司の名前を出すのは最終兵器でも良さそうだ。
「ご飯は食べないと体力つかないし、頭も働かないんだよ。治る病も治らないし。僕は龍之介に元気でいて欲しい」
そう云うと、罰悪そうに顔を俯かせた。
(効いたか?)
そう思って僕が台所に立ち去ろうとすると、彼が突然口を開いた。
「だ、だが!」
反論する気配を察して僕が睨みを利かせようとすると、此奴は予想もしなかった言葉を口にした。
「味がしないから……」
「味がしない?」
どう云うことだろう。真逆、味覚障害か? だったら危ない。
そうだとしたら与謝野先生に相談しよう、と歩み寄った時、此奴は爆弾を落とした。
「敦が作ったもの以外は味がしない……」
その言葉に数秒間フリーズする。
「っは〜〜〜〜〜〜もうお前嫌い!!!」
そう叫んだ僕は悪くないと思う。
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どうも眠り姫です!
あとがきつっても書くことあんまないな……
シリーズの方で芥敦がかける気がしなかったため、練習用に書きました。
でも太中も混ざってますけど。
では、読んでくれたあなたに心からの感謝と祝福を!