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聖夜の奇跡。
読み切り小説です。
楽しんでくださいね。
聖夜の日。
どうか、奇跡を―――
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|夜櫻柊《よざくらしゅう》。
私の大嫌いで、大好きな人。
君を思い続けて、何年経ったかな。
君は気付かない。
私の気持ちに。
だから大嫌い。
運動している時に、こっちを見て笑うところとか。
勉強中、暇そうにしている顔とか。
大好き。
特別だと思ってた。
一番話すのは、私だと思ってた。
君は『クールイケメン』と表現されることが多いもんね。
女子には興味がないのかもしれない。
今日はサッカーをしに校庭に行った。
珍しく積極的だったよね
そんなことを考えながら、君がいる窓の外を見る。
ここは1階だから、至近距離で見えるんだ。
少し不貞腐れ気味に窓の外を睨んだ私を、君は一瞬で落とす。
目線を合わせて、綺麗な顔で笑うんだ。
「!……くっそ、柊…」
もうどうしようもないくらいに好き。
なんだか悔しくて、大好きな君に吐く言葉。
--- 大好き ---
なんで気づいてくれないの
いっそ好きじゃなくなればいいのかな
無理だってことは分かってる。
素直になれない私。
勇気が欲しい。
今日は12月18日。
そうだ、クリスマス。
誘ってみようかな……
「あの、柊、えと、あの、」
緊張して上手く舌が回らない。
ぽん。
私の頭に、優しく手が置かれた。
駄目
好きになるのを止められない
「ゆっくりでいいから。ちゃんと聞くから。」
「…私、クリスマス柊と一緒に過ごしたい。」
「駄目、かな……」
恥ずかしくて目を逸らしてしまう。
「っ……」
「うん。いいよ。」
「いいの⁉ほんとに⁉」
「ほんとだよ。ほんとにほんと。」
「だってほら、痛いでしょ?」
そう言って私の頰を優しく抓る。
「っ、//」
恥ずかしくて、全然痛くない。
そこも、多分真っ赤に染まっているだろう。
「夢じゃ、ないんだ……、ありがとう!」
ばいばい、とその場で別れる。
夢じゃ、ないんだ…
さっきのことを思い出す。
駄目だよ
私以外にあんなことしたら、駄目だから
だから―――
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聖夜の日。
どうか、奇跡を―――
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待ち合わせの、巨大ツリーの下。
ひらひら舞い落ちる、雪。
今日は、ホワイトクリスマスだ。
勇気を下さい。
少し悴む、手。
「ごめんね、待った?」
「全然待ってないよ。大丈夫。」
凛とした綺麗な声も。
私だけのものにしたい。
欲張りかな……?
行こうと言っていた、イルミネーション。
雪が重なって、とても幻想的。
「わぁ…綺麗、、」
「ほんと、綺麗だね、」
少し見とれていると、手が寒くなってきた。
家に手袋を忘れてきちゃって。
そんな私の手に、温かい柊の手が触れた。
「この手袋、使う?」
「っ…………」
もう無理
抑えらんない
『好き』という、この感情を。
「柊、私、私…」
『ずっと好きでした』
「っ…」
「僕も、だった。」
「!本当に、、、、?」
「本当だよ」
そう言って、柊は。
私に優しい優しい、キスをした。
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聖夜の日は。
何かが起こる。
ホワイトクリスマスの、奇跡。
メリークリスマス。
X’masネタは少し早いかもしれませんが、期待が高まるように、この小説を送ります。