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人間が妖精族と子作りする方法・5
「ぎっ!!」
一瞬、エースは何が起こったのかわからなかった。
ひどい圧迫感。
尿道を駆け上る液体。
ぶしゃぶしゃという水音。
体が濡れていく感触。
暗転する視界。
……いつのまにか飛んでいた意識が戻ってきた。
真っ先に感じたのは、あたりにただよう刺激臭だった。発生源はエース自身から。ソファのひじ掛けより下にある股間と胴体がずぶ濡れになっていて、顔にまでかかっていた。それが小便くさかった。
──オレ、漏らしちゃった?
次に視界に入ってきた、自身の勃起したペニス。スティックの底部と尿道口のわずかな隙間から、ぷしゅ、と尿を漏らした瞬間を目撃してしまう。そのせいで、エースの疑惑は確信に変わった。
「最初から強くしすぎたな……次はもっと弱めてから……」
独り言をつぶやいているマレウスは、エースの正面に立って、惨状を見下ろしていた。ずっと尿道口を塞いでいた親指は離れていて、今はマレウスの舌がねぶっている。親指に付着したエースの名残を味わっている。
エースは弱々しく口を開く。
「なに……」
「戻ってきたか」
「オレに……なにを……」
エースの覚醒に気づいたマレウスは、最後に親指をひと舐め。
「何をしたか、だが……まずはその棒の説明をしてやろう」
「遅くね?」
「先にしようと後にしようと、同じことだ」
エースを見下ろしたまま、マレウスはやっと説明を始める。
「そもそもこの魔道具が無くても、人間は妖精族と子作りできる。だが僕ほどの力を持った妖精族が相手だと、子どもを身ごもったときに、人間程度の魔力では子どもに魔力を生命ごと吸い尽くされて、母体の人間が死んでしまう。だから、トラッポラの肉体を変える必要がある」
「……いやちょっと待て!? 変えたの!?」
「いや、まだだ。これから変える」
マレウスは身をかがめて、エースのペニスの竿を指先で軽く引っかく。
「ふうっ」
刺激を受けたペニスが震えて、また少量の尿を吐き出した。
勃起して浮き出ている筋をなぞられつつ、カリカリとくすぐられていくエースのペニス。
「くふっ。ふううっ。やめろ。また、漏れるっ」
「昔話をしようか」
ちょぽちょぽと失禁を続けているペニスを飽きずにくすぐりながら、マレウスは話していく。
「僕が産まれるずっと前のことらしい。人間に恋した妖精族がいた。その妖精族も魔力が多くてな、人間を孕ませたくても、魔力を糧にして育つ子どもに殺されてしまうから、孕ませられなかった」
「あっ、あっ、あっ、指、やめてっ。漏れる漏れる漏れる……!」
「……聞いているか?」
「聞いてるっ! 聞いてるから、くすぐるなよっ! 気ぃ散る!」
「失禁が止まらないのを自覚させるためにやっているのだが、どうだ? 止まらないだろう?」
マレウスの言うとおり、エースは先ほどから尿を漏らしっぱなしだ。まるで膀胱が機能していないような……。
エースはハッとする。
「これっ。この棒の、せいで」
マレウスは昔話を続ける。
「恋しい人間を孕ませたい妖精族は、こう思いついた。人間を妖精族にさせれば、少ない魔力が倍増されて、子どもを孕んでも問題なくなるはずだと」
マレウスはペニスをくすぐるのをやめた。代わりにペニスを手のひらで包み、上下にしごき始める。
「ほおおおお……!!」
エースが腰を振って鳴いても、ほとばしる尿を手に浴びても、マレウスは手を止めない。昔話を続ける。
「人間が妖精族になる方法は、妖精族の体液を体内に取り込むことだが……皮膚や口内摂取くらいでは非効率すぎて、妖精族になるまでに寿命が来てしまう。なので件の妖精族は、一番効率の良い吸収法を取った」
「おおっ。おおんっ! しごかないでぇええぇえ」
「それは人間の精巣内で、妖精族の精液を取り込むことだった。これなら短期間で人間は妖精族になれる。……聞いているか?」
「き!! 聞いてほしいんなら! 手ぇとめろー!」
「聞いているなら、それでいい。こうして妖精族は自分の精液を人間の精巣内に詰めて、生きているうちに妖精族にさせて、無事に孕ませられた。めでたし、めでたし」
果たしてそれは人間の同意があったものなのか。エースは気になったが、それどころではない。
少量とはいえ、本当に、失禁が止まらないのだ。
「オレの膀胱! どうなってんだよおおお!」
「昔話も終わったところで、本題なのだが」
しごいていた手が急に止まる。
「ああっ!? あっ、うああっ。はっ、はー、はー、はーー……」
とつぜん終わった刺激をエースは持て余す。
「はうう……」
手は止められたのに、失禁は止まらないままだ。
チロチロと竿を伝い落ちる尿。まだペニスを握ったままのマレウスの手を濡らし続ける。
「オレの膀胱、どうなって……?」
「尿道に挿入した棒の先端を、膀胱の中に入れた。もちろん入れただけでは、ここまで失禁しない」
「なに、した」
「膨らませた」
「……は?」
「棒の先端を、風船のように膨らませた」
マレウスはエースの下腹をクッと押した。それと同時に、エースのペニスから尿が新しく、ピュッと湧き出た。
そして下腹には、歓迎したくないのに馴染みのある感覚。外出先でなかなかトイレが見つからないときにやってくるもの。
尿を我慢しているときに感じる、膀胱からの圧迫感だ。
「トラッポラの膀胱の中は、膨らんだ棒の先端でいっぱいになっている。尿を溜める空間など、まったく無いほどにな」
──ああ。だから尿が作られた端から、外に出されているのか。
エースのどこか冷静な部分が、そう納得した。
(続く)