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部隊スペードの決闘 第八話
林沢レオ
前回のあらすじ
宮城、大葉、藤浪の三人はJCIPA本部へ、木村石川の二人は日犯団本部へ着いたのだった。
「着いた」
日犯団本部最上階、トップの男の部屋であった。
「開けます。木村さんは準備を」
木村さんが銃を取り出し、小さく頷くのと同時に、俺はドアを開けた。
「…いない?」
部屋には誰もいない。前に見えるのは大きなガラス越しの東京の街並みだけだ。
振り向き、木村さんと顔を見合わせる。その瞬間。
木村さんが、崩れ落ちた。
後ろには銃を構えた男が1人。トップの男である。
「石川くん、裏切ったんだぁ。俺はお前を信用して、金まで用意したのに」
木村さんは小さく呻き声を上げている。彼女はまだ助かるかもしれない。
「木村さん!!」
銃声がして、体にまた弾を撃たれる。
「これくらいしないと…石川くん反省してくんないでしょ?」
嘘だ。こんなの、あんまりだと思う。なぜ?俺のせいだろうか。彼女を裏切ったから?
途端、怒りが湧いてきた。
「…っ」
「なんだよ、なんか言えよつまんねーな」
俺の何かが壊れた。何かが死んだ。
「っ死ねぇぇぇぇ!!!」
男がこちらに銃を構える。構わない。突っ込もう。殺すんだ。
トリガーに男の指に掛かっている。間に合わない。俺は死ぬ。でもいいんだ。死ななきゃならない。
銃声。
トップの男が倒れた。
「遅かったか…」
男の後ろには笹本さんが立っていた。
「石川くん、大丈夫か」
俺は言葉を失った。トップはあっけなく死んだ。俺は何もせず、ただ木村さんを犠牲にして。
「石川くん?」
自分は死ねなかった。木村さんのために。
肩にかすり傷がある。トップの男が撃った弾だ。
「僕は…何もできなかった」
「彼女は、残念だったな」
「僕の責任です。僕は…」
体が窓ガラスへ近づいていく。銃身で叩き割る。
「石川くん、早まるんじゃない」
「お三方に、よろしく」
俺は死ななきゃならない。今は空の上の思い出に近づくために、俺は身を投げた。