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第1話 初恋との再会
❃虹色うさぎ❃
基本BLがメインですが、所々百合描写もあります。大体はプラトニックな描写しかありませんが、それでも苦手な方はご注意下さい。
太陽の光が祝福してくれるかのように優しく包み込んでくれる結婚式場の中、「ふわぁ」と欠伸をしながら、オレは姉ちゃんがウェディングドレスを着終わるのを待っていた。
オレの名前は|永久 輝綱《とこしえ きづな》16歳高校1年生だ。そして今日の主役の一人である姉こと|永久 輝菜実《とこしえ きなみ》は26歳と十歳も年上だが、可もなく不可もなくといった具合に適度な関係を築けている気がする。今日はそんな姉ちゃんの結婚式なのである。
ガチャリと音が鳴り扉が開くと、控え室に純白のドレスに身を包んだ本日の主役である花嫁、永久輝菜実が入ってきた。母さんも父さんも感極まって喜びの涙を流している。そんな様子を呆然と眺めていると姉ちゃんが近づいてきて軽くオレの頭をチョップした。「痛ぇ…」と涙を浮かべながら言うと頬をぷっくりと膨らませながら
「ちょっと!もう少し似合ってるとか可愛いとか感想ないわけ?」
とジト目でそっぽを向いてしまった。慌ててフォローをしようと言葉を探し、
「いや…なんかまだ実感沸かなくてさ。…似合ってるよ。」
と言葉を紡ぐと「ふーん、まぁそれで許してやるか。」となんとか合格点の回答を導き出せたようだった。
「そんなことよりそろそろ式が始まる時間じゃないの?」
と切り出すと、ハッとしたように
「そうね!そろそろ会場に移動してて!私も|結城《ゆうき》と合流するから!」
と言い残し、扉を出ていった。母さんに促されてオレと父さんも式場へと移動する。
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式場に入り、花嫁の入場を待っていると相手の母親と父親も入ってきた。母さんたちが「こんにちは」とにこやかに挨拶すると、向こう側も笑顔で応答する。それに合わせてオレも会釈をした。すると母さんが
「そういえば下のお子さんはどちらにいらっしゃるんですか?確かうちの輝綱と同い年ですよね?」
と口を開く。そう、なんと向こう側も十歳離れたいるのだ。しかし、まだ顔を合わせたことはない。
「実は少し体調を崩しているらしくて…。直前まで控え室で休ませて貰っているんです。」
と残念そうに向こうの母親が呟く。
「あら、それは心配ですね…。」
と母さんが返事をすると扉が開き、俯いて肩まである艶々の髪で顔が隠れている華奢な男が入ってきた。すると、向こう側の母親が
「|結大《ゆうた》!?大丈夫?」
と慌てて近寄る。すると結大と呼ばれた男はふらつきながら席へと着席し、
「はぁ…まさか結城がもう結婚しちゃうなんて…。寂しすぎるよ…。」
と今にも吐きそうな顔色で泣きながら呟いた。若干引きながらもオレがドライなだけかもしれないと思い直し、声をかけに行く。
「よぉ!オレたち同い年らしいし、一応親戚ってことになるみたいだからこれから仲良くしてこうぜ!」
ハイタッチをしようと手を差し出すも、結大は理解していないのか固まっている。ハイタッチが通じないとは、文化部なのだろうか…?と疑問に思っていると結大が口を開き
「ぼ、僕は|月代 結大《つきしろ ゆうた》なんだけど君の名前は…?」
「あぁ、オレは永久輝綱だよ。」
と答えると、急に目を泳がせ始めた。知り合いだっただろうかと試行を巡らせる。
(ん?待てよ?月代結大って聞き覚えが…。)
しかし花嫁の入場の時間になった様で一度オレは母さんに促され席へと戻ることにした。
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扉からウェディング姿の花嫁が2人現れる。…そう!今日はオレの姉ちゃんと結大の姉ちゃんの結婚式なのだ。と言っても籍は入れられないようだが…。
2人は牧師の前まで歩いていくと、誓いの言葉を交わしキラキラと光る指輪を交換した。
「…結城。私今とっても幸せだよ。」
輝菜実が左手の薬指の指輪をステンドグラス越しに入ってくる光に透かし、恍惚とした表情でにこやかに微笑む。すると結城が輝菜実の両手を握りしめ
「私もだよ…。」
と誓いの口づけを交わした。正直輝綱としては姉のこういう姿を見るのは少し気恥ずかしい。…が、隣に視線を向けると結大が涙で顔をぐしゃぐしゃにしていたので、それが可笑しくて自然と笑みが溢れた。
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その後披露宴で、先程途切れた話の続きをするべく結大の元へと歩みを進めた。こちらに気づいた結大はもじもじと両手で手遊びをしながら「輝綱くん…。」と頬を紅潮させながら甘い笑みを向けてきた。
(…うん。今確信に変わった。絶対に知り合いだ。)
頭をフル回転させて思考を巡らせること5秒。すると、向こうも気づいてないと分かったのか慌てて
「ごめん…!そうだよね…。もう小学生のときのことなんかハッキリ覚えてないよね。」
と恥ずかしそうに呟いた。…しかし、小学生というキーワードでオレの頭の中にある古い記憶が蘇ってきた。この記憶が間違っていなければオレは姉ちゃんに感謝しなければならない。だって、結大は…
「…悪い!今思い出したよ。小3のときにずっと仲良くて4年生になる前に引越しちゃった結大だよな?雰囲気変わってたから中々気づかなかった…。」
「…う、うん!…良かった。思い出してくれて。このまま忘れられてたままだったらショックでショック死しちゃうとこだったよ。ただでさえ姉さんが結婚しちゃうんだもん…。」
「…相変わらずシスコンだな。結大は」
「…まぁ、一番は姉さんじゃないんだけどね…。」
とそっぽを向きながら上目遣いをしてくる。それは、どういう意図で言っているのだろう…。
実はオレは、結大が引越しする直前に結大に告白をしていた。返事は貰っていない。流石にそれを忘れているとは思えないが…。
そう、結大はオレの初恋の相手なのだった。
今回は輝綱視点で書きましたが、次回は結大視点で書く予定です!宜しければご覧ください。