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君を救いたい
最後の方少し終わり方雑かもです
「あと、10秒だけ」
私は、他の人にはない力を持っている
それはお母さんが言うには、人間はみんな生まれた時には持っていた力らしい
でも、みんな生まれてすぐに使い切ってしまうから、記憶には残らないらしい
「どんなにすごい力があっても、いずれ限界がくるから」
お母さんに教えてもらったことを私はまだ覚えている
そしてこれからもきっと覚えている
私は物を自分の意思どおりに動かすことができる
俗に言う念動力である
でも、使わない
使わなくても、私は今幸せだ
高校2年生の夏、私は恋をした
誰にでもよくある恋心だ
毎日屋上でどこかを見る彼の顔はどこか覚悟が決まっていて、爽やかだった
普通の恋のはずだった
これからも普通の青春を送るものだと思っていた
彼の気持ちを 知るまでは
「ここに柵がなければな」
彼がぼそっと呟いた言葉を聴いてしまった
彼はここから飛び降りようとしている
でも、私は彼に死んでほしくはなかった
今日は彼より少し早く屋上に来れた
ふと、彼がいつも触っていた柵を見た
歪んでいて、鍵が取れてしまっていた
少し直そうと手をかける
直らない 私の腕力では戻すことはできなさそうだ
…ならば
17年ぶりに力を使った
柵はひとりでに動き、歪みが直っていく
少し固く固定しておこうかと思い、力を使う
柵が溶け、地面と接着される
これでしばらく外れることはないだろう
少し遅れて彼がやってきた
足早に私はいつもの位置に移動する
彼は今日も柵に手をかけて、外を見ている
ふと、何かに気づいたように手元を見ている
「柵が...動かない...」
驚きで声が大きくなっている
耳を澄まさなくても聞こえた
彼は、柵を動くように毎日負荷をかけていた
そこまでして飛び降りたいのか私は疑問に思うが、実際はそうなのだろう
それからしばらくの間、毎日彼は柵に寄りかかっていた
13日目、私の視界の端で別のフェンスが外れていた
幸い彼はそのことには気づいていなかったようだ
鍵が壊れていて、能力でも直せそうにない
しかし昼休みの終わり際、彼はそのフェンスをたまたま見た
鍵が外れていて、力をかければ開きそうなフェンスを
彼がそのフェンスに近づこうとした瞬間、昼休みの終わりを告げる鐘がなった
しかし、間違いない
彼は明日飛び降りようとしている
止められる方法は、もうこれしかない
彼がいつも通りの場所に立っている
意を決して、彼の肩を叩く
「ん?どうかした?」
なんでもないように振る舞っている
でも、言葉の端が震えている
やっぱり、今日飛び降りるつもりだったんだろう
「飛び降りようとしてる?..........よね」
「なんでわかって.....」
「言葉に出てたよ、ずっと聞いてた」
「な........でも.......」
「君のことが好きだから、どうか、死なないでほしい」
「俺のことが..........?」
顔に驚きが浮かんでいる
ずっと、自分が誰にも必要とされていないのが嫌だったんだろう
「ありがとう.....」
それだけで私には十分だった
….その時だった
柵の鍵がバキンと鋭い音を立て、割れた
柵に寄りかかっていた君が、逆さまに落ちる
「落ち...........」
思わず力を解放する
君はふわっと重力に逆らって浮いていく
少しずつだが確かに屋上に近づいてきた
もう少しで屋上というところで、電撃のような痛みが走る
「いずれ限界が来る」
母の言葉がフラッシュバックした
この調子ならすぐ屋上につく
だが、痛みは引かない
むしろ、強くなる
それでも、力を振り絞る
電撃が脳を焼く
でも、君のことは絶対に救うと決めた
君が手の届く範囲にいる
手を伸ばし、引っ張った
「ん...............?」
目が覚めて最初に見えたのは白い天井だった
白い個室にいる
隣に人の気配がして横を向くと、そこには君がいた
目が赤い。泣いた後だろう
「よかった....起きてくれて」
少しだけ拍子抜けした
私の力について聞かれるかと思っていた
「聞こうとは思わないよ、あれのことは」
そうだ、私はそんな彼の優しさに惹かれていた
胸の奥が熱くなる
「これからも、よろしくね」
「こちらこそ」
きっと、私達はこれからも生きていく